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大人になりました8
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「あれ…?」
想像していた感覚は、いつまでたっても襲ってこない。
ギュッと瞑っていた目をゆっくりと開く。
「…にい、さん?」
そこには今までいなかった筈の兄貴がいて、
「痛っ…痛い痛いっ、離せって!」
工藤は兄貴に髪を捕まれ暴れていた。
「まさ、こいつ誰?」
「え、いや、その…」
いつもと変わらない様子の兄貴。
ただ今はそれが恐ろしく感じた。
「柔道部の…生徒、です…。」
「今何してたの?」
「…っ」
やっぱり怒ってる。
浮気だって勘違いされたのだろうか。
でも勘違いされても仕方がない。
あんな状況だったのだから。
襲われたのだと、正直に言えばいいのだろうがそうすれば工藤が危ないかもしれない。
兄貴に勘違いされている事の悲しみと、正直に言えない苦しさでぶわっと涙が溢れてきて目に溜まる。
「ごめんなさい…ごめんなさい……」
俺は必死に涙を隠すように顔を手で覆った。
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