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「あ、ええと…」
こういう時ってどうしたらいいんだろう。
探し物じゃないです、って断ったほうがいいのかな。
それとも、有真の行動を不自然に感じて声をかけてきたのだろうか。
しかし、男はこちらをずっと心配そうに見ていた。
…断りにくい。
さっきまで死ぬことしか頭になかったのに。
そう思うと、声をかけてくれた男の存在が何故か嬉しく思えた。
そして、いつぶりかの嬉しいという気持ちで胸が苦しかった。
どう、表現しよう。只々、死にたい。だけだったのに。
「探し物…というか、んんと…」
今、初めて逢った男でいい。
話したいな。そう思った。
「何…か、なくした?」
男が尋ねて来る。
それが嬉しくて、嘘をつく。
「はい。えっと、これくらいの財布を…。友達と遊んでて」
両手で財布くらいの大きさを示す。
「そなん、だ。…色、は」
「黒、です」
有真が財布について話すと、男はすっと公園内を探し始めた。
探し始めて結構たったが、何も見つからない。そりゃ、最初からなくした財布なんてないんだ。
「あの、もう遅いのでだいじょぶですよ。ごめんなさい」
男にそう言うと、男は何も言わずに公園を出て行った。
もっと話したかった、な…。
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