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「…『DED』という名をどこで知った?」
向田篤志の低く響く声に、井端甫の顔色がどんどんと悪くなってくる。
「それは教えられないな。此方が質問しているんだ。答えてくれ。」
藤城悠の言葉に向田篤志は俯き、答えようとしない。すると、突然井端甫が向田篤志に抱きついた。
「いい。篤志…大丈夫だよ。今までだってなんとかなったんだ。これからも…これからは僕達2人だ、なんとかなる。言えないことなら、言わないでいいよ。」
向田篤志の背に回した腕は小刻みに震えている。顔色はとても悪く、井端甫の体調があまり良くないものに感じられた。
「甫…」
「…。」
「甫…。大丈夫。ちゃんと話せる。お前は何の心配もいらないよ。だから…少し休んだ方がいい。」
ゆっくりと井端甫の体を離すと有村春一に目をやった。
「悪いが、こいつを少し休ませてやってくれないか?顔色が悪い。」
「ああ。さっきから思ってたよ、あんたらが仲良く手を繋いでいるもんだから、邪魔しちゃ悪いと思ってたんだけど。」
「春一、あまりからかってやるな。…甫さん、少し休んだ方が良さそうだ。空いている部屋を使って貰って構わないから、少し横になってきたらどうでしょう?」
藤城悠に否められ、口を尖らせた有村春一に目を向け、井端甫は俯きがちに呟いた。
「一人は、嫌だ。」
「なんだ、俺にそばにいて欲しいのか?」
有村春一の茶化すような言葉に鋭い視線を送る。
「あんたには、頼んでない。」
「昴、悪い。頼んでもいいか?」
九十九昴は快く引き受けると、井端甫の手を取り、支えながら奥の部屋へと向かった。
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