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「結局、直孝さんが何を考えていたのか、俺たちにはわからない。九十九家について何も知らない俺には、DEDの探していたものが九十九家と、どう関わりがあったのかもわからない。」
九十九昴の過去は、井端甫や向田篤志の想像をはるかに超えた絶望的なものであった。
「だから、俺は真実が知りたい。あの夜、あんな事になってしまった理由を…九十九家の事を、DEDが探しているDEという薬についても……ちゃんと知りたいんだ。」
「真実を知ってどうする?」
向田篤志の問いかけに、返ってくる答えは決まっていた。
「DEDに復讐する。何もかも壊したあいつらを俺は許さない。復讐したところで、両親も、直孝さんも、帰ってこないんだってわかってる。壊れた物はもとには戻らないってわかってる。………でも、復讐が俺が生きる意味なんだ。」
膝の上で強く握りしめた拳に、藤城悠の手がそっと重なる。断然大きな手が、九十九昴の手を包み込む。
「俺は、昴が望むならなんでもするつもりだ。もしあの時昴が死んでいたら、触れていれば良かったと、もっとそばにいてやれば良かったと、きっとすごく後悔した。
もうあんな思いはしたくない。あんな恐怖はうんざりだ。だから、俺は一生こいつの側にいると決めたんだ。側にいて俺が命がけで守る。あの日から、俺はこいつの物だから。」
あの時既に両親を病気で亡くしていた藤城悠にとって、大切な存在は九十九昴だけになっていた。互いに互いしかいないという状況は二人の絆を何よりも強固にした。
「これが、俺たち二人がDEDへの復讐を望む理由だ。………多分奴らを追うことは、凄く危険だ。多分じゃなく、死ぬかもしれない。………尚さんみたいに。」
「尚?」
有村春一は九十九昴の言葉に怒鳴り声を上げた。
「尚は死んでない。あいつは今必死で生きようとしてるんだ。」
「尚さんて、春一さんの大切な人ですか?」
「…っ…あぁ。俺が、こいつらと一緒にDEDを追ってる理由だ。」
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