アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
16
-
「やっぱり、直孝さんは天才です。…天才すぎて、わからないです。」
九十九昴は微笑んでいた。彼の優しさに、思わず、笑顔がこぼれていた。
「本当にその直孝って人のおかげだとして、一つ質問していいか?なぜ赤髪の男が生きていたのに、その直孝って人の生存を疑わない?」
「疑う必要がないからだ。身元不明の遺体の片方は、それから数か月後に、夏目直孝の遺体だと断定された。もう一人の方は全くわからなかったんだ。」
それまでずっと黙って九十九昴たちの話を聞いていた、井端甫が口を開いた。
「話してくれてありがとう。話したからこそわかった事もある。一つの目的のために動くのなら、情報の共有は大切な事だと思う。
もしも、春一さんが話そうと思えるようになったらでいいですから、お話、聞かせてください。」
有村春一は舌打ちをして、そっぽを向いてしまった。しかし井端甫には、そのうち必ず話してくれるという確信があった。
「所で、少し話しておきたいことがある。」
昔語りがひと段落ついたところで、話を切り出したのは、藤城悠だった。
「先程、店に刑事が来て話して行ったことだ。手を引けと念押しされたが、俺は引くつもりは無い。きっとここにいる者の中に、この話を聞いて手を引くなどと言う者はいないだろうけど、一応耳に入れておこうと思ってな。」
※※※数時間前
「手を引けって言いに来たんだよ。DEDからな。」
綾瀬良の言葉に九十九昴の手からグラスが滑り落ちる。
「どういう事だ?」
藤城悠の質問に、親指と人差し指で輪っかを作って、手の甲でテーブルを5回打った。
50万。情報の対価を要求してきているのだ。
警察内部の話を買うのに50万は安かった。藤城悠は頷くと、小切手に50万と印てテーブルの上に置いた。
「尚と春一の上司、ここをあいつらに教えた男だ。わかるだろう?その津村航平-ツムラ コウヘイ-が殺された。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 70