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『DED』編
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津村航平が殺害されたという情報を手に入れてから1週間が経った。
今まで全くの謎に包まれた存在だった『DED』の情報を、津村航平が手に入れたということから組織内で歪が生じ、それにより情報漏洩という『DED』としては信じ難い事態になった物と想定していた。
しかし、あれから1週間。
九十九昴達は『DED』について、一切情報を掴めず、津村航平が掴んだとされる情報事態も掴むことは出来ずにいた。
警察も情報を掴めていない様で、わざわざ忠告に来た綾瀬良が、情報を求めて『SUBARU』 に来ることもあった。
「手を引けって言ったやつがなにしに来た?」
綾瀬良が『SUBARU』を訪れた時、丁度有村春一以外は他の客の相手をしていた。
「手を引けとは言ったけど、どうせ引く気がないことぐらいわかってる。だったら、使えるもんは使うのが俺たちのやり方だ。…『DED』の情報をよこせ。」
カウンターに座りもせずに、有村春一と睨み合う。
彼等は高校時代からの悪友らしい。一つ年上の綾瀬良と年下の有村春一は、まるで先輩後輩関係がなく、それも原因か、とても仲が悪い。
「ない。」
「は?」
「だから、ないって言ってんだろう。この万年朴念仁??」
カウンターに手を叩きつけ、少し相手の方へと体を乗り出す。
「ふざけんなよ。情報屋だろうが??仕事しやがれ!この昼行燈??」
カウンターを挟みながらも、鼻がぶつかるんじゃないかと思うほどに顔を付き合わせて睨み合う2人。
「いい加減にしろ!営業妨害だ。」
2人の顔面を鷲掴み引き剥がし、有村春一を他の客の元へと行かせる。
「あいつにあんまり近付いてくれるな…。営業妨害もいい所だ。…迷惑だ。」
「あいつが先につっかかって来たんだ??これでも俺は客だぜ?」
有村春一が視界に入らなくなると、ようやくイスに腰掛ける。
「それは申し訳ない。しかし、貴方が求めている物は彼の言うとおり、ここにはない。」
他の客のカクテルを作りながら、片手間に綾瀬良の相手をする姿に、不快感を覚えた。
「水??」
金を払う気の無くなった綾瀬良は、水だけ飲んで帰ろうとしたが、
「もう酔ってらっしゃるんですか?」
「まだ一杯も飲んでねぇよ??」
「そうでしたか?酔っているのかと…ここはBARです。水ならどうぞご自宅でお飲みください。」
軽くあしらう藤城悠に苛立ちを感じ、カウンターを叩きつけて『SUBARU』を後にした。
あれ以来、綾瀬良は『SUBARU』に顔を出さなくなり、藤城悠の客が減るのでは、という心配は杞憂に終わった。
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