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「閉まってる」
紫桜をからかうのに夢中になっていたら、思いの外時間が経っていた様だ。
役所は閉まっていた。
「フン、くだらん事ばかりしているからだ」
「紫桜だって楽しんでただろ」
馬鹿にした様な言い方に腹が立ったが、悟られない様冷静に言い返す。
反応を伺うと、やはり紫桜も腹が立った様だが、先の事を思い出したのか、口元を手で隠した。
フードで見えないが、恐らく赤面しいるのだろう。
キスをしようとしたら分かりやすく狼狽えた紫桜。
赦してくれたのは一瞬だった。
こちらに身を委ねる様に目を閉じた紫桜だったが、見惚れている内にその気配はすぐに消えてしまった。
キスをした事がない様で、随分居心地が悪そうだった。まあ、お仕置きとしては良かったのかも。
惜しい事をしたという気持ちは消えないが。
「今日は宿か何処かに泊まる。あ、城に泊めてくれたりなんかは…」
するわけないよな。
「ん、僕も宿を取ろう。」
するわけないのはわかっていたけど、そうじゃないだろ。
「俺はお前と寝たくて城に泊めてって言ったんじゃないぞ。紫桜まで宿に泊まる必要ないだろ」
「ねねね寝るだと!?そんな不埒なことをしてみろ!えっと、その…っ極刑だぞ!!」
恋愛に不慣れなヤツをからかうと、たまにこういった弊害が出るんだよな。
「寝るって、普通に睡眠だけど?睡眠取ると極刑になるなんて変わった世界だな。」
「え、あ、そういう……な、なら…極刑には、ならない…な、」
寝るってどういう意味だと思ったんだって問い詰めたかったが、今回はやめよう。そろそろ泣かせてしまう。
真っ赤になって使えない紫桜を引っ張りながら、俺は手頃な宿を探した。
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