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紫桜をベッドの真ん中より少し右側に横たえ、俺は左端に腰掛ける。
『ネーレ』
紫桜が起きない様心の中でネーレに語りかける。
本当は声を出して会話したいのだが、ネーレの声は紫桜に聞こえないし、変な人認定されたくないので諦める。
もう変人だと思われているかもしれないが。
『はーい、呼んだ?』
『忙しいか?少し話したかっただけなんだけど』
『大丈夫だよ。運命の相手の王子様と会ったみたいだけど、彼とは上手くやっていけそう?』
いきなりな質問に息を詰める。
やっていけそうな、いけなさそうな。
ネーレはこの世界の事をたまに監視しているみたいだ。
全てのことに目が通るわけではないらしいが、俺の事は気にかけていてくれたみたいだ。
『上手くやっていけると思うか?』
『流石に1日じゃわからないよね。ぼく的にはお似合いだと思うんだけど、四悠が無理だと思うなら、運命は簡単に変えられるよ?』
そんなものか。
神様が言うならそうなんだろう。
だとしたら俺だけでなく、紫桜が運命を変えたいと思えばそうなってしまうのだろうか。運命とは存外脆いものだ。
ツキリとした痛みを胸に感じた。
『運命の相手って言うのが、結ばれる運命の相手って意味とも限らないしね』
その運命が良い意味を持つのか悪い意味を持つのかわからないってことか。
俺は普通に一般的な解釈をしていたが。
『俺と紫桜は結ばれるって意味の運命の相手であってる?』
『それを言っちゃうと面白くないから秘密〜!…ふふ、そこまで気にするって事は、結構好きになってるんじゃない?』
ネーレが嬉々として俺をからかいにきている。
神様でも恋話が好きなようだ。
『俺が好きなのは控えめな子なんです!我が儘王子はお断り!』
ネーレは深くは追求してこず、そっか。と小さく笑った。
なんだか負けたような気がしたが、神様相手に牙を剥いても何の意味もなさない事はわかっていたので、そこからは大人しく世間話に徹するのだった。
隣に紫桜がいるのは最早気にならなくなっていた。
大きなベッドに体を横たえ、俺は小さな温もりと共に眠りについた。
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