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トラ先生の悪夢③
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「良賀谷君、ちょっと来てくれるかな。」
「はい。」
お昼休みぼくは担任の先生に呼び出されました。
後をついて行くと担任教師は養護室の前で立ち止まり、ノックをしてから扉を開けられてぼくを中に招き入れられる。
部屋の中には校医の先生ともう一人ぼくのショートホームステイを担当する先生が居て、ぼくに応接セットの大きな椅子をすすめられる。
ぼくは一礼をして椅子に腰掛けて話が始まるのを待つ。
「良賀谷君、体調は大丈夫なのかな?」
担任がまず口を開き心配そうにぼくを見ながら聞かれる。
「?」
「主治医からの診断書にもあったけれど、自覚症状がない気付きにくい病気だそうだから…」
「??」
「二村先生に大体の説明を聞いて病気について理解はできたけれど、」
「???」
一旦言葉を切って校医の二村先生の方を見られてからぼくに視線を戻される。
ぼくは何の話なのか分からず、3人の教師を順番に見比べて首をかしげる。
「この前のホームステイ参加者の健康診断では問題なかったんだけどね…。潜伏期間が長いウィルスだから発見されてもよいものなのに…」
「あの…」
ぼくは嫌な予感がして恐る恐る聞いてみる。
「ぼくがウィルスの感染症を起こしているということですか?」
「えっっ、主治医の先生から聞いてないのかい!?」
先生方は驚いて顔を見合わせる。
「学校のパソコンの緊急通信に、良賀谷君が通っている病院から主治医の診断書が添付送信されてきてね…」
ぼくは嫌な汗まで出てくる。
まさか…、
「見せていただいていいですか?」
ホームステイを担当してくれている泥江先生が、ぼくの名前が書かれたホームステイ関連書類のファイルの中からプリントアウトされた診断書を出してぼくの前に差し出してくれる。
そこには、ぼくがB型肝炎に感染していて初期症状が出ている診断結果と数週間の治療期間を必要とする医師の判断が記載され、トラ先生の署名捺印がしてありました。
「っ!!」
「まぁ、なんで直ぐに二村先生と泥江先生に相談した結果、残念だけど今回の良賀谷君のホームステイは見送らせてもらうから。」
担任からの言葉にぼくのこめかみに太い青スジがはしる。
ついでに頭の中をPaddock Parkの『I'll Swing My Fists』が最大音量で鳴り響く。
「すみません、早退させていただきます。」
ぼくはその足でトラ先生の元へ向かいました。
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