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トラ先生の思惑⑥
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おそらく、多分、絶対に、トラ先生は確信犯です。
《優しく犯してあげる》…まったくの言葉通りそのままに、トラ先生はその手練でもって巧妙にあっさりとぼくのバックヴァージンを奪われたわけなんだけれど…。
「トラ先生、どうされたんですか?」
「……。」
「あの、ぼく何か不味いことしましたか?」
「……。」
「ちゃんと受け止めますので、はっきり言ってください。」
「……。」
「ひとまず、出てきていただけませんか?」
まったく反応を示してくれないトラ先生に途方にくれてしまい、気待ちが沈んで 、Fitz&TheTantrumsの『HandClap』が聴きたくなる。
さっきまですごく満ち足りた気分だったのにな…。
ぼくは小さく溜め息をついて、こんもりと盛り上がった布団を弱りきって見つめる。
怒濤!?の初体験から一夜明けてトラ先生のベッドの中で目覚めたぼくは、同じく裸で眠るトラ先生に擦り寄り耳元にそっと口付けた後、至近距離で始めて目にする恋人の寝顔を、しげしげと観察してしまいました。
端正ではあるけれどぼくとは違って、しっかりとした骨格の男らしい輪郭の顔やその特徴的な、上部に切り込まれた猫目、引き締まった大きな口元など、普段の女性らしい仕草とは対極ともいえる男の色気を纏ったトラ先生に見惚れ、顔のパーツに指を滑らせていたらそれがもとで、トラ先生が目を覚まされました。
ぼくはまだ完全には覚醒していない様子のトラ先生にそっと抱き着き、
「おはようございます、トラ先生。昨日は素敵な体験でした。目覚めてもまだ、余韻に浸ってしまってました…。」
気恥ずかしさを抑えてそう告げると、トラ先生の目線に合わせて瞳をじっとのぞきこみ、唇に触れるだけのキスをする。
「…っ!!」
するとトラ先生はぼくと目が合うなり、ハッと息を呑んで次の瞬間すっぽりと頭から布団を被って潜り込んでしまったのです。
「えっっ!?トラ先生??」
ぼくは訳が分からなくて目の前に突然出来た布団の山を、呆然と見つめました。
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