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トラ先生慄く⑦
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話が脇にちょっとそれてしまったけれど、ぼくがこのやさぐれた同級生の話をトラ先生にしたところ
「うちに連れていらっしゃい。」
となったのです。
梶本君の都合で、稽古を放課後や授業が始まる前にしたりとその日で変わるのだけれど、今日は放課後に少し長くみっちり特訓したので、時間が遅くなってしまった。
明日が休日なので、トラ先生のところにお邪魔する予定だったから連絡をすると
「クライアントがお土産に米沢牛をどーんと買ってきたのよ。お友だちも一緒に食べましょう。」
ぼくは梶本君にこの後の予定を聞いて、もしよければと誘うと、肉?ぼくの恋人の存在?その両方なのか?興味をもったらしく、あっさりと誘いにのってきたので内心驚いた。
そして、
「うーん、梶本君そんなに緊張しなくていいのよ〜。それで、どこでお会いしたかしら?」
トラ先生はどうぞ、とお茶をすすめながら梶本君に再び尋ねられる。
「あ、いえ、自分…私はまだ襲名をしておりませんので、芸名は秋山 千太郎と申します。」
「ああ!秋山の〜!」
梶本君がいただきます、とおずおずとお茶に口をつけてから家元を名乗ると、トラ先生は合点がいったようでした。
「あたしのことを古宮先生と呼ぶのは確かに…ねぇ。」
「はい、本家で何度かお見かけして、その…お世話になっていると…聞き及んでおります。」
そう言い淀んで梶本君はかぁっと顔を赤くする。
いつもの毒々しさが鳴りを潜めて、すっかりしおらしくなっている彼のあまりの態度の変わり様に、ぼくはにやにや笑いが抑えられず梶本君に睨まれてしまう。
「ぷっ、秋山の人間にしては随分腰が低いというか…るうちゃんの話通り、純な子ねぇ!」
トラ先生はさも可笑しそうに吹き出される。
「あたしにも遠慮なんかしなくていいのよ!」
向かいから手を伸ばして梶本君の頭をくしゃくしゃ撫でられる。
ぼくもお茶をいただきながら、梶本君がトラ先生と面識があったことに驚きを伝えると
職業柄そういう家にも出入りして下のお世話(始末)をすることもあるのよ〜、とトラ先生はさらりと言ってのけられましたが…。
「しもっ!?」
ぼくはびっくりして顔を上げ、梶本君は気まずそうに俯きました。
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