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トラ先生の診察③
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午後21時過ぎ。
ピッという電子音に続いて、カシャンと玄関扉のレバーを押す音がすると、外の空気を纏ったトラ先生がお出迎えしたぼくに勢いよく抱きついてきました。
「ただいま、るうちゃんっ!遅くなってごめんね‼」
すりすりと頬擦りをしながら、冷たい鼻先をぼくの耳元に埋め込み、すぅぅ〜ッ…としっかり匂いを吸い込まれる。
「おかえりなさい、トラ先生。今日も一日お疲れ様でした。」
予定通りに終業しないのと残業は範疇内の業界なので、今更気にすることもない。トラ先生の場合は受け持つ患者さん柄とくに。
なので今日はマシな方だ。
きゅっと抱き返し、ぼくもトラ先生の肩口に顔を埋めて労いの言葉をかける。
「ありがとう〜。るうちゃんは本当に優しくていいこね!あたしの愛で毒してあげるわ‼」
不気味な称賛をされるトラ先生から笑顔で身体を離すと、夜ごはんの用意を整えるべく、キッチンへ避難しました。
「うふふ。逃げてもムダよ!あとでたっぷり可愛がってあげるわ‼」
ネクタイを緩め、スーツの上着を脱ぎながら着替えの為にクローゼットルームに向かうトラ先生の背中に、お断りをさせていただく。
「明日も学校なので、今夜は帰ります。」
「送ってあげるから大丈夫よ〜!」
扉の向こうに消えながら、他人事のような呑気なお答えをされる。
天井に内蔵の暖色のLEDライトとは別に、部屋の四隅に長い筒状のシャープなデザインの間接照明が灯るダイニングルームで、トラ先生と向かい合って少し遅い夜ごはんを共にする。
「お腹空いたでしょう。いつも待たせてごめんね!必ずるうちゃんが一緒に食べたいって言ってくれるから、あたしは甘えてばかりね。」
スキレットで焼いた二人分のチキンを優雅な手付きで切り分けながら、そういうつもりでうちに来て欲しかったわけではないのだけど、と今朝の誘いを弱った確信犯顔で、でもしっかりとアピールされるトラ先生。
「ぼくは登校前にトラ先生にお会いできて嬉しかったです。こうしたサプライズは一日を通してテンションが上がってよいものですね。」
スプラウトと人参、セロリの千切り野菜サラダを盛ったお互いの取り皿に、キャベツと玉ねぎとハーブを練り込んだソーセージのトマト煮込みを取り分けながら、ぼくも今朝の嬉しかった感想をにっこりと述べました。
トラ先生の相好は一瞬で崩れ
ガタンッ、
「るうちゃん‼っ、ああ…我慢できないわッ!
あのねっ「ひとまず、夜ごはんをいただきましょう。お話はそれからで。」
「んぶぅっっ!」
勢いよく立ち上がり、身を乗り出して迫るトラ先生の顔面を掌で制し、着座して姿勢を整える。
「…そうね、まずはいただきましょうか…。」
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