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雪「いや、帝先輩たち遅いですね。今日、皇先輩まで来るとは思いませんでした。帝先輩に頼まれたんですか?相変わらず仲良しなんですね。」
誤魔化すように、つらつらと口をついて出てくる言葉。少し戸惑っていた皇先輩はそれから普段の顔に戻っていった。
皇「…あれで、あいつ意外と小心者なんだよ。昨日から顔面蒼白で、見てられなかった。普段は多少強がっているがな。」
涙と似ているな。あいつは物凄く強がりだから。
そして寂しがり。
雪「あの二人は案外似た者同士なんですね。涙の気持ちを分かってあげられるといいな。」
ふっと皇先輩は目を伏せて控えめに笑う。
皇「雪は本当に涙が大事なんだな。」
雪「はい。小さい頃から知っているです。ずっと支え合ってきました。僕以外に支えてくれる人ができるのは、嬉しいことです。」
皇先輩は手を伸ばして僕の頭を撫でた。
皇「そうだな。でも、やっぱり寂しいな。」
僕は目を見開いた。
そう、少し寂しい。
涙は先に支えてくれる相手を見つけてしまった。
嬉しいのも嘘じゃない。でも、半身がなくなったような寂しさもあった。
僕は僕を見て支えてくれる人はいるのだろうか。
誰かを好きになることはできるのだろうか。
それからはお互いしゃべらず、時間が過ぎていった。
しばらくすると足音が聞こえた。
リビングの扉が開き、帝先輩が入ってくる。
雪「涙は…。」
帝「…うん、大丈夫。寝てしまったよ。」
雪「そうですか。約束は守ってくれましたか?」
帝「うん。それに涙も応えてくれた。」
穏やかに笑うその顔を見て、二人が上手くいったのだとわかった。
雪「今日は涙の両親も遅いみたいです。僕も予定があるので、涙に付いていてもらえますか?」
帝「うん。雪、本当にありがとう。皇もごめんな。」
皇「…上手くいったのなら良かったよ。俺も帰るから。」
帝「あぁ…本当にありがとう。ごめんな。」
皇「なにが?これから頑張れよ。」
それから、僕と皇先輩は涙の家を出た。
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