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浮気心というものは誰にでもあるものなのだろうか。
世の中の人皆が僕と同じ様に恋人の浮気に苦しんで、泣いているのだろうか。
いや、そんなわけない。
だって幸せそうな恋人達を知っている。
手を繋ぎ笑みを交わす恋人達を見ている。
違う、僕達とは違う。
あの人は、今日もきっと他の誰かの傍にいる。
時間は二十三時四十分。
冬の雲のない夜空は綺麗で、冷たい。
最初はこうじゃなかった。
確かに幸せで、愛されていたはずだ。
もうそれも自信を持って言えなくなってしまったけれど。
通学のバスで一目惚れをした僕が勇気を振り絞り告白して、そして振られて、でも諦めきれずに何度も告白して、そしてやっと実った恋だった。
「何度も告白してくれる内に、いつの間にか君を好きになっていた。ごめん、そして諦めないでいてくれてありがとう」
その時の笑顔も握られた手の温かさも、僕は今でも憶えている。
でも恋人として付き合うようになれば、不安が生まれた。
社会人の彼と高校生の僕、釣り合わない事は分かっていたけれど、それでも感じる彼との差に落ち込む事は何度もあった。
「君だっていつか大人になる。そして俺はその頃にはもうおじさんだ。そうなった時君が俺を嫌いにならないか、その方が不安だよ」
君は可愛い、本当に可愛い、愛おしい、何度もそう言って不安になる僕を抱き締めキスをする彼を僕はもっと好きになった。
「ずっと俺の傍にいて欲しい」
それは彼の本音だと、僕と同じ気持ちなのだと信じていた。
今はもうそれを信じる事が出来ない。
不安がつのる僕に、彼はもう何も言ってはくれない。
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