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イケメン教師、調教師との因縁を思い出す
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村田は言った。
「あんた、あのとき助けなかった俺のこと、恨んでるんだろう。でも、俺だって、あの時は、こわかった。俺は一人で、向こうは五、六人だったし」
小坂は、ビルの壁を背に立っていた。
「怒ってるよね……。動画に撮ったのも、あとで証拠になると思ったからだけど……見返してたら……」
村田が小坂の肩をつかんで、小坂をビルの外壁に押しつけた。
「……我慢できなくなった」
額に被さる小坂の前髪を村田の手が掻きあげた。
「俺、あれからずっと、あのことが忘れられないんだ。あいつらをぶちのめしてやりたいって」
村田は、苦しそうに言って小坂に口づけた。
壁にひじをついて眉根を寄せていた村田は、小坂から離れた。
村田は制服の袖で、唇をぬぐった。
「恨んでるだろ? 見てたならなんで通報しないんだ、って」
手のひらを壁についた村田が、前髪の間から上目づかいで小坂を見た。
「俺がとめられなくても、警察を呼べばよかったんだ」
「ほかの人が助けてくれたから……」
小坂は、やっと口を開いた。
「だから、大丈夫……」
ぼろぼろになった小坂を、助けて介抱してくれたのは、麓戸だった。あのときの麓戸は、優しかった……。麓戸は、恩人だった。そのまま、ビルの屋上にのぼって、飛び降りようと思っていた小坂を、麓戸は死ぬなと止めてくれた。
非常灯と月あかりだけの薄暗い階段で麓戸は小坂を抱きしめてくれた。小坂の涙が枯れるまで、震える小坂を抱きしめていてくれた。
「助けてくれた人って……ドSのド変態なんじゃないの?」
村田が、小坂の感慨に水を差すように言った。
「え?」
小坂は聞き返した。村田は言った。
「だってさ……あの状態のあんたを見て、引かないヤツって……」
……そんな風に考えたことはなかった。小坂は否定しようとして言った。
「そんな人じゃない。彼は優しい人だ」
だが言う端から、気づいてしまった。麓戸は……。ドSのド変態……。
「ならいいんだけど。せんせーって世間知らずっぽいからさ……」
村田は、言った。
「そういうのに、騙されそうで、俺は心配」
村田が聞いた。
「話変わるけどさ、せんせーって、宮本のこと、好きなの?」
「宮本って……級長の宮本のことか?」
小坂は、聞き返した。
宮本と村田は、席が、あいうえお順の出席番号順で前後だった。正反対のタイプなのに、二人は最近よく、いっしょにいた。それに……。
「宮本って、美少年だよね?」
村田が同意を求めた。
「村田の方がモテるんじゃないか?」
小坂は返した。よく見回り中、他校の女生徒たちに囲まれている村田を見かけたからだった。
「俺、女に興味ねえし」
村田は、うそぶいた。
「ねえ、せんせー、知ってます? 宮本って、小坂せんせーのことが好きなんですよ」
小坂は、返答に困った。小坂の熱くなった頬に村田が触れた。
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