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【第十一章 再び生徒会室】第一節 イケメン教師、救出されえずく
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ラグビー部の部室の外で、生徒会長は、小坂の首輪を外した。
風紀委員長が小坂を頭から毛布ですっぽりくるんでくれた。皆の目に、恥ずかしい姿を晒さなくてすむようにという配慮だった。
生徒会室に戻った風紀委員長は、憤った口調で言った。
「あいつら、やっぱり一年生の部員を、性処理係にさせていたんだな」
「そうだな」
生徒会長は、風紀委員長に思案顔で相槌を打った後、小坂の方を向いて、
「小坂先生」
と呼びかけた。
生徒会長の、いたわるような目があった。
「大丈夫……なわけ、ないですよね。申し訳ありませんでした」
生徒会長は深く頭を下げた。
今さら謝るくらいなら、なぜあんなことを。謝られたくらいで許せるようなことではないのに、と小坂は心で憤った。
「先生?」
頭を上げた生徒会長が、不安そうな目で小坂を見た。
「ラグビー部の性処理係……」
小坂の脳に、高校時代の記憶が押し寄せてきた。
と同時に突然、吐き気がこみ上げてきた。胃は空だった。小坂は、ただ、えづいた。うずくまって、床に膝をついた。
そんな小坂に驚いたように、生徒会長が、
「先生?」
と小坂に呼びかけるのを、小坂は遠くに聞いた。
「小坂先生……ベッドに横になりましょう」
生徒会長が、小坂の肩に手をかけた。
「触るな!」
小坂は、差し伸べられた手をはらいのけた。
生徒会長の手が、びくっと震えて引っ込められた。
「すみません」
生徒会長が言った。
「ただ僕は心配して……」
風紀委員長が、遠慮がちに小坂に聞いた。
「小坂先生が、ラグビー部の性処理係だったと……ラグビー部の幹部も言っていたけれど、本当だったんですか?」
小坂は、こみあげる吐き気に口を押さえた。
「話は、あとだ。とにかく先生を先にベッドに」
生徒会長は風紀委員長を制して指示した。
生徒会長は風紀委員長と二人で小坂を支えた。
小坂はベッドに横たえられた。
「生徒会室にベッドか」
小坂は、つぶやいた。ベッドは、こういう時に役に立つのか、とぼんやりした頭で思う。
「はい。ここで僕は、前会長から……」
生徒会長は、途中まで言いかけて口をつぐんだ。
普段冷静な、先ほども巨体のラグビー部部長を相手に堂々と渡り合ったはずの生徒会長の声が、今は震えていた。
「小坂先生の過去を宮本くんが調べようとしていたので、何かあるとは思っていました」
「ああ、そういえば、宮本は大丈夫か?」
宮本の名を聞いて、小坂は首をめぐらした。
「呼んできましょうか?」
生徒会長が小坂を気づかうように聞いた。
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