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イケメン教師、生徒会長と風紀委員長のやりとりを聞く
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「本当は俺が生徒会長になるべきだった」
風紀委員長が、メガネを中指で押し上げながら、神妙な面持ちで言った。
「ああ、そうだな。君は、剣道部の主将だしな」
生徒会長が投げやりに応えて、どさりとソファに身体を投げ出した。
「そうだ。文武両道の者が生徒会長になる。これは我が校の伝統だった」
風紀委員長は、謹厳な様子で続けた。
「ラグビー部の連中もそれが不満で、僕に従わないのだ」
生徒会長が足をテーブルに乗せた。
「君が初めての……文人生徒会長だからな」
風紀委員長は、そんな生徒会長のふてくされた様子を見て言った。
「今、なぜ言いよどんだ?」
キッと生徒会長が風紀委員長を振り返った。
「え?」
風紀委員長が、夕陽に照らされた端正な横顔を曇らせた。
「『性奴隷会長』と言おうとしたんだろう」
生徒会長はテーブルから足を降ろし、起き上がった。
「え……」
いわれのない言いがかりをつけられた風紀委員長は、思いがけないという様子で後ずさった。
「知っているよ。皆が陰で僕のことをそう呼んでいるのは」
立ち上がった生徒会長が、風紀委員長の胸ぐらをつかんだ。
「皆が? 誰だ、そんないいかげんなうわさを。諜報部の村田からでも聞いたのか?」
風紀委員長は、胸ぐらをつかまれたまま苦しげに聞いた。
「君だって、本当は僕のことを、そう思ってるんだろう」
生徒会長は質問に答えず、一方的に風紀委員長を問い詰めた。
「そんなこと、思っているわけないじゃないか」
ぐいぐいと締めあげる生徒会長の手に、されるがままで風紀委員長は答えた。
「だったら何だというんだ、さっきの発言は。君も、僕が生徒会長にふさわしくない、と言いたいんだろう?」
生徒会長は攻めた。
「違うよ。そうじゃない。俺は、君が矢面に立ったり、つらそうにしているのを、見ていられない、と言いたかったんだ」
風紀委員長は、怖じずに、真摯な表情で生徒会長の目を見つめて答えた。
「僕がそんなに弱く見えるか?」
生徒会長はムキになったように問いかけた。
「いや、俺が勝手に心配してるだけだ」
風紀委員長は答えた。
生徒会長は、やっと風紀委員長の胸ぐらから手を放した。
「こんなことなら、自分が苦しむ方がマシだと思ったんだ」
解放された風紀委員長は息をついてから言った。
「俺が生徒会長になるべきだった。それなら、君が苦しむ姿を見なくてすんだ」
風紀委員長が男泣きに泣いていた。
「僕が苦しんでいるのは、君のせいじゃない」
生徒会長は、目を伏せて言った。
「僕は、生徒会長にならなかったら、もっと苦しかっただろう」
窓から射しこむ夕刻の日が、向きあった二人を照らしていた。
「僕が生徒会長になれたのは、君が立候補を辞退してくれたおかげだ」
生徒会長は風紀委員長を見つめて言った。
「僕は生徒会長にならなかったら、ラグビー部の性奴隷のままだった。僕が生徒会長になったから、性奴隷などという忌まわしい闇の制度を廃止できたのだ」
「そうか……」
風紀委員長は、涙をげんこつで拭いた。思わず泣いてしまったことを恥じているように唇を噛みしめて。
「だったら、敵はラグビー部だな」
風紀委員長の決意に似たことばに、生徒会長はあらためてうなずいた。
だが、風紀委員長の、
「小坂先生は関係ない」
という言葉には、生徒会長は即座に反対した。
「いや、関係ある。小坂先生は、ラグビー部出身の校長のいいなりになっている。それが、余計、やつらをのさばらせることにつながる」
小坂は、ベッドに横たわったまま考えた。はたして自分たちは、自分たちの代で、この呪わしい因習を打ち砕くことができるのか、と。
「ううん……それは、まあ……小坂先生が、風紀を乱す行いをしているのは事実だからな」
風紀委員長が、しぶしぶのように、うなずいた。
「きみは小坂先生にあまいね。小坂先生を解放したいの?」
生徒会長は、風紀委員長に尋ねた。
「そういうわけではないが」
風紀委員長は、小坂を気づかうように見た。
「ふうん。まあ、いいさ。きみも、おおかた彼の毒に当てられてるんだろうから」
生徒会長は、風紀委員長を軽蔑するように言った。
「だけど、このことを知っても、まだ、きみが冷静でいられるかな。まだ小坂先生をかばうのかな」
生徒会長は、もったいぶった調子で風紀委員長を挑発するように言った。
「なんだよ。さっさと言えよ」
風紀委員長は、焦れたように催促した。
「でも、こんなこと、言ってもいいのかな」
生徒会長は、言いながら、小坂の方をちらちらと見た。
「いいから、早く言えって」
風紀委員長はせかした。
「じゃあ、言うけど……」
風紀委員長に促されて、生徒会長は小坂の様子を気にしながら口を開いた。
「小坂先生は、僕の入っているトイレの隣で、しょっちゅう、自慰をしていたんだ」
生徒会長は、思いきったように、いっきに暴露した。
聞いていた小坂は身体をこわばらせた。手にじっとりと汗がにじんだ。
「え?」
風紀委員長が驚いたように聞き返した。
「それは、君が隣にいると知った上でってこと?」
「偶然にしては何度も……だから」
小坂の胸が早鐘のように打った。バレていたのか。やっぱりバレていたのか。生徒会長に……。
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