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さっちゃんのおやつ教室〜秤の要らない生チョコ〜
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「はい、ではまず」
「はい」
「助手の逸くん生クリーム1パック(200cc)をシャカシャカして下さい」
「はい。……なんで?」
「乳脂肪分の高い生クリームは中で固まっちゃってることがあるからですねー。『生』とか『フレッシュ』じゃなく『ホイップ』と書いてるクリームは植物油なのでこの心配はありませんが、生のほうが断然おいしいですよー高いけどー」
「へー!初めて知りました!」
「はいそんなに振ったらバターになっちゃいますから。それを小鍋にだばぁ」
「だばぁ」
「そこにバターとはちみつ、もしくは水飴を各10グラムずつ。はちみつは計ると結局皿とヘラにくっつきっぱなしになってナニコレになるので鍋に直接ぐるっと小さく一回し程度入れちゃっても良いですよ。洗い物も減るし」
「へぇー、俺チョコと生クリームだけでできてるんだと思ってました」
「まあこのふたつはあればでいいですよ。でもあると一気にお高い味になります。あとバターはホントは無塩バターなんですけどそんなもんご家庭にないですしね。この程度の塩分誰も気にしませんから普通のバター入れちゃって下さい」
「はーい」
「で、小鍋にホイッパー挿しといて、そこに生クリームのパックを立てかけておきます。生クリームは粘度が高いので結構残ってます。高いから最後の一滴まで使う。」
「執念ですね」
「はい、では別の鍋に水を入れてー」
「はい」
「その上に大きいボウルを乗っけてー」
「はい」
「火にかけます。このボウル、小さくてプカプカしてるようだと大事故が起きますので絶対大きいやつ使ってくださいね。鍋にピタッとはまるやつ」
「へぇー、どんな事故が起きるんですか?」
「ボウルが傾いて沈没、蒸気がヘラとかを伝って入ってきて台無しになる等」
「え、蒸気入っちゃダメなの?」
「ダメだね〜、少しくらいならなんとかなるけどまず間違いなくダメになるね〜」
「実感こもってますね〜」
「んでこの上のボウルに板チョコ400グラムをパキパキ割りながら放り込んでいきます」
「え、こんな感じで良いんですか?」
「いいですよー。製菓用のチョコ使ってももちろんいいけど、刻むのも計るのも面倒です。板チョコなら手でいけるし一枚あたり何グラムかが既に書いてるので超らくちんです」
「あーなるほど」
「植物油入ってない板チョコも普通にあるしね。日本の板チョコマジ優秀」
「へぇー」
「でもできるだけ細かくするのは頑張ってね。じゃないと生チョコの中から普通にチョコ出てくる」
「了解です」
「あとこれ生チョコとかトリュフの場合だけに使えるやつです、コーティング用とかの温度管理必要なチョコだとムラが出ちゃうのでちゃんと刻みましょう」
「上級者向けのようなのでスルーしときます」
「はい、そろそろお湯が沸いたようなので火はもう止めちゃいましょう。これグラグラさせたままだとチョコが未知の物体になりますから気を付けて。」
「未知の……」
「はい。じゃ、立てかけておいた生クリームのパックをどけてー」
「はい」
「生クリームを火にかけます。しばし放置」
「はい」
「じゃチョコ割り終わりましたので、ゴムベラでなめらかに混ぜましょうー。チョコはぐりぐり混ぜちゃダメですよー。未知の物体になります」
「また……」
「じゃその間にバットにオーブンシート敷いておきまーす。サイズはねー、まあ『普通のやつ一枚か二枚』としか言えない……厚み、好みだし。でも2センチくらい厚みがあると見栄えいいですね。切るの大変だけど」
「なるほど」
「生クリーム、ふちがふつふつしてしましたねー。これが真ん中までぶわーって沸くまで待ちましょう。人肌で、とするレシピもありますが痛みが心配」
「うおおぶわーって!!」
「はいじゃあ火ー止めてー、チョコのボウルにだばぁ」
「だばぁ」
「そしたらホイッパーに持ち替えてなめらかに混ぜまーす。こっからはある程度ぐるぐるしても大丈夫」
「うわああすっげー良い匂いする……!!」
「混ざりましたねー、じゃあここからはしなくてもいいんですけど、好みで洋酒」
「スゲーきつそうなのキタ」
「を、生クリーム温めてた鍋にどばぁ」
「え!!計んないの!?つーか量がすげぇ!!!」
「ここだけはねぇ……ほんとお好みだから、初めての人はちゃんとした本見て計ってください………私は相当効いてたほうが好きなのでこうしちゃうけども……、すみません……、」
「ああ………そうだね、その方がいい」
「んでこのお酒で生クリームを洗い流します!最後の一滴まで!」
「執念ですね」
「で、チョコ生地にだばぁ」
「だばぁ」
「混ぜてーー味見したらーー生地出来上がり!バットに流しますよーーー」
「うわああああツヤッッツヤですねーーー」
「ゴムベラを駆使してきちんとはだけてー、結構高さがバラバラになるので均してー、バットの底をバンバン叩いて空気を抜きます」
「はい」
「したらラップをします!これ埃よけじゃないですよー、冷めてくると表面に膜が張っちゃうんです。だから空気が入らないように手で貼り付けながらね」
「へぇーー、初めて知った……」
「はいオッケー、粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて固めます!私はまる一日は置くかな」
「結構かかるんですね!」
「うーん数時間でもいいのかもしれないけど……万が一固まってないとほんと大惨事ですからねー」
「はあー、なるほど」
「あとチョコは油分凄いですからね、湯煎に使ったお湯をボウルと道具に流して洗うととてもラク」
「おぉなるほど〜〜〜」
「はい、じゃーここまでは簡単でしたけども」
「えっ」
「はいこちら、きちんと固まった生地と膨大な量の熱湯と膨大な量のキッチンペーパーとナイフとピュアココアがあります」
「えっえっえっ」
「生地からラップとオーブンシートを剥がしておきますねー」
「はい」
「ナイフに熱湯を掛け」
「はい」
「キッチンペーパーで拭き」
「はい」
「切る」
「はい」
「ナイフに熱湯を掛け」
「はい」
「キッチンペーパーで拭き」
「はい」
「切る」
「はい」
「これを延々繰り返すわけですよ」
「………………」
「チョコに水分は大敵ですからね、めんどくさいからって拭くのをサボらないこと。チョコが綺麗に流れないまま切らないこと。どんどんひどいことになっていくぞ」
「………………」
「正直温まってればナイフじゃなくても切れるから、パレットとか持ってる人はそれでも良いですよ。拭きやすいしね。で、さらに18センチのパウンド型とか持ってると、それに熱湯入れといて、浸ける、拭く、切るでお湯が冷めるまでできるからその方がラクということにごく最近気付きましたのでよかったらどうぞ」
「………………」
「はいじゃあ全部細長く切れましたので次、これをサイコロ型に切っていきますよー、要領は一緒ですが、切ったらそのままココアの上に転がしていきましょう、で、菜箸でココアまぶして除けて、切ってまぶして除けて、切ってまぶして除けて」
「………………」
「人にあげる分はこの中から綺麗なのを選ぶ、と」
「……………」
「あ、生チョコ用の箱は一つあたりの大きさ決まってる時もあるから、そういう時はちゃんと測りながらやったほうが失敗少ないですよー」
「………………」
「…………どう!敬吾さんできそう!!?」
「こんなん俺でもできないよ…………さっちゃん凄すぎるよう……………」
「お菓子は慣れと段取りだからなぁ……。まあ、生チョコは作るのラクだけど仕上げが大変だよね。仕上げ楽したいんなら作るの大変だけど焼きっぱなしで済むカップケーキとかクッキーにするしかない」
「なるほど……」
「でも計量いらないこの生チョコが作れないんならもうお菓子なんか諦めなさい。まあ食べてみて」
「すげぇ旨いなにこれ泣ける……」
「敬吾さんがこれ作ったら下手したら逸くん死ぬね」
「死ぬね」
おわり。
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