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手を引かれたまま歩いて少し。
明らかに教室とは違うドアの前に立ち止まったクリスは軽くドアをノックした。
すると中から返事が聞こえ、それを確認するとクリスがドアを開けた。
「琉聖、連れてきた。」
中の人物に短く伝える。
クリスの大きな背中の陰にいた俺は誰と話してるのかここがどこなのか分からず混乱していると、急に手を引かれクリスの前に押し出された。
一瞬の出来事に驚いて目を見開くと、そこには豪華なソファーに座る男が俺を見ていた。
その姿に俺は息を呑む。
綺麗。
ボキャブラリーの無い俺の短い感想。
もうそれしか言葉は見つからなかった。
少し長めの深茶色の髪、その前髪から覗く漆黒の瞳はそれさえも凶器になりそうな程鋭くて心臓が跳ねる。
面長の顔に似合う筋の通った鼻に、薄く引き締まった唇が印象的な美男子。
この世の物とは思えない顔立ちに俺は俯いてしまう。
この状況は何なんだ?
何がどうなってるんだ?
朝からの展開の早さに頭がクラクラする。
俯いて立ち尽くす俺に目の前の美男子が小さく息を吐いた。
そして高級そうなソファーを小さく鳴らして立ち上がるとゆっくり近付いて来るのが気配で分かる。
らしくなく息を呑む。
「お前が橘 深月か?」
長く細い骨張った指が俺の顎を捉えて掬い上げる。
意外にも近くにあった綺麗な顔に思わず息が詰まった。
返事をしない俺を鋭い瞳が捉え答えを促す。
その何とも言えない威圧感に小さく頷くと、さっき教室で向けられた値踏みするような視線が降り注ぐ。
暫く俺を見てから顎を捉えたままの指がゆっくり離された。
「クリス、川崎に伝えろ。了解したと。」
俺の後ろに居ただろクリスにそう告げると、クリスは「OK」と短く言って部屋を出て行った。
状況が全く飲み込めずに立ち尽くしてると、美男子は俺から離れてさっきまで座っていた高級なソファーにまた身を沈める。
「立ってないで座ったらどうだ?」
感情のない低い声がして俺は素直にそれに従う。
美男子の向かい側の1人掛けのソファーに居心地悪く座る。
座ったは良いが、それからお互い何も話さず静寂が部屋を包む。
どうしたらいいか分からず俯くと美男子がゆっくり口を開いた。
「お前は今日から俺の婚約者だ。」
その言葉に絶句した。
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