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その後はこれ以上混乱したくなかったのもあって俺は口を開かなかった。
それを察したのか、元々口数が少ないのか琉聖も無言で何か分厚い書類を見詰めていた。
重い空気感にそろそろ窒息してしまいそうになっていると車が静かに停まった。
琉聖側のドアが開いて外の新鮮な空気が車内に広がる。
俺は窒息死寸前だった為、思わず深呼吸して息を吹き返した。
優雅に車を降りる琉聖に続いて俺も車を降りると、今度は心臓発作で死んでしまうんじゃかと思う光景が広がっていた。
高級旅館を連想させる玄関に並ぶ人々。
さながらテレビで見るような旅館並のお出迎えに思わず足が止まる。
この非現実的な空気感を全く気にしていない琉聖は普通に歩いて行ってしまう。
どうしたらいいか分からないで立ち尽くしてると後ろから小さい声が聞こえた。
「深月様、琉聖様の後に続いて行って下さい。」
スーツの男に促されて足を踏み出す。
すると両脇に立ち並ぶ、多分この家の使用人だろう人々が一斉に頭を下げた。
その光景に思わず立ち止まると遥か前、もう屋敷内に到達しただろう琉聖が俺を振り返る。
そしてまたその鋭い視線で俺を呼ぶ。
この茶乃木琉聖と言う男は視線だけで人を支配出来る特殊な人間なんだと俺は理解する。
それは誰をも支配する絶対的な物で、普通の高校生の俺はその他大勢と同じくそれに従うしか無かった。
羞恥で今すぐ逃げ出したい気持ちをなんとか堪えて琉聖の元へ行く。
何とか辿り着くと琉聖は無言でまた歩き始めた。
もう豪華としか言えない屋敷を少し歩いて、これまた豪華としか表現出来ないドアの前に琉聖が立ち止まった。
俺も連られて隣に立つ。
優雅にドアがノックされる。
少ししてドアがゆっくりと開けられ琉聖はそこに入っていく。
躊躇う俺はその場から動けないで居ると、琉聖に名前を呼ばれた。
「深月。」
その少し低めの声に促されて部屋に入った。
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