アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
.
-
当たり障りの無い短い会話を済ませて琉聖の父の部屋を後にする。
緊張してたせいか、ドアが閉じられた瞬間大きな溜め息が廊下に零れた。
「大丈夫か?」
突然聞かれて隣を見ると無表情で立ち止まった琉聖と目が合った。
この人って本当に何を考えてるか分からない。
今だって口では心配した素振りを見せるが、顔は大して興味無さげに俺を見てる。
興味無いならそんな言葉を掛けなければ良いのに・・・
「大丈夫、です。」
学校で同級生らしい事はクラスメイトに聞いては居たが、あまり好意的ではない雰囲気に思わず語尾が敬語になってしまう。
それを気にすることもなく受け止めると琉聖はまた歩き始めた。
それにトボトボと付いていく。
少し歩いてまた別のドアの前に立つと、さっきと同じように琉聖がドアをノックした。
返事が聞こえてゆっくりドアを開ける。
そこはさっきの琉聖の父親の部屋とは違い明るい女性らしいインテリアの並ぶ部屋だった。
「あらいらっしゃい、琉聖。珍しいわね。」
ソファーに座りお茶を楽しんでいた女性がこちらに笑顔を向ける。
フワフワした可愛らしい印象のその人は柔らかい笑顔の幼い感じがして年齢がいまいち分からなかった。
「紹介する。コイツが橘 深月だ。」
今日何回目かの挨拶に変わらず頭を下げる。
後何回これは繰り返されるのかな?なんてちょっと思ってしまった。
「そう。はじめまして。琉聖の母の茶乃木 麻莉愛(ちゃのき まりあ)です。」
手にしていた高そうな食器を置いて琉聖の母親と名乗る女性が笑った。
嘘だろ?母親?マジで?
俺の疑問を含んだ視線に彼女は楽しそうに笑った。
「本当に私が母親よ。琉聖は私が17の時に産んだの。だから同級生のお母様方からしたら若いでしょうね。」
そう言うと近くに居た使用人が淹れたおかわりのお茶を手にした。
30代前半には見えない母親に心底驚居ていると、琉聖は一礼して部屋を出ようとした。
「あらもう行くの?」
俺の紹介以外口を開かない息子に不満そうに訴える。
その言葉に立ち止まり1度母親を見るも直ぐに踵を返して部屋を出て行った。
俺はどうしたらいいか分からなかったがとりあえず琉聖に追いつこうと麻莉愛に頭を下げてドアへ向う。
すると麻莉愛が少し小さめの声で言葉を紡いだ。
「貴方も可哀想ね。」
その言葉の真意は分からなかったけど、聞き返すのもどうかと思いそのまま部屋を後にした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 353