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無言で前を歩く背中を無言で追いかける。
無駄に広い屋敷を迷わず(当たり前だけど)歩いて琉聖は玄関へとたどりついた。
「川崎、帰る。」
朝から顔を見慣れたスーツ姿の男に琉聖が言うと、川崎と呼ばれた男性が深々と頭を下げる。
「畏まりました。車は用意してあります。」
そう言うと無駄にデカイ玄関の扉が開かれ、先回りすると車のドアも開けてくれた。
「今日はご苦労だった。父さんにもよろしく伝えといて。」
「畏まりました。お気を付けて。深月様もお気を付けて。」
俺達が車に乗り込むとまた深々と頭を下げて言うと、静かに車のドア閉める。
それを合図に車はゆっくりと動き出した。
「あの人は?一緒じゃないんですか?てか、帰るってどこに?ここ家じゃないんですか?」
溢れ出る疑問が口から次々に溢れ出す。
自分でもこんなに矢継ぎ早に質問出来るんだとびっくりした。
「川崎は父の執事だ。お前を迎えに行ったのは父の依頼だろう。この屋敷は実家だが俺はここには住んでない。俺の家には今から帰る。他に質問は?」
意外にも全部に丁寧に返事をされ、終いには他は無いかと聞かれて呆気に取られて思わず首を横に振る。
もう質問が無いと分かった琉聖は、会話はここで終わりだと言わんばかりに鞄からタブレットを持ち出すとそれに視線を落とした。
その姿を見て俺はもう黙るしか無かった。
こんなに全身で話し掛けるなオーラを出されて少し凹む。
でも無理矢理話し掛ける勇気も無くて、俺は窓の外を走り抜ける景色をただぼんやりと眺めていた。
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