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部屋を眺めて俺は溜め息を吐いた。
「どうかなさいましたか?深月様。」
俺が喜ぶと思ってたのか、予想に反した態度に栗山さんが困惑して聞いてくる。
確かに琉聖の心遣いは嬉しい。
いきなり朝起きて家を出ろと言われ、説明も無しに今ここに居る俺にとって見慣れた物達は少しだけ安心を与えてくれる。
でも・・・
裏を返せばもうあの住み慣れた家には俺の物は無くて、本当に帰る場所がもう無いのだと実感させられた。
今の俺は少々ナーバスになっているせいか、後者の方を取ってしまい気分が暗くなった。
「着替えるので外して貰えますか?」
せっかくの好意を素直に喜べなくて1人になりたい俺は当たり障りの無いように栗山さんに告げる。
すると栗山さんはそれ以上何も言わずに黙って頭を下げると部屋を出て行った。
1人取り残されて改めて部屋の中に視線を送る。
全部、ほぼ全部の物がここにある。
「もう帰れないんだな・・・」
小さく呟いた言葉は広い部屋にゆっくりと飲み込まれていった。
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