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あの琉聖の爆弾発言の後、気力も食欲も無くなった俺は食事をしようという琉聖の誘いを断って自分に充てがわれた部屋に引き篭もった。
『性欲処理』
この言葉がヤケに心に突き刺さって、それが時間か経つにつれて徐々に傷を深くしていた。
今日初めて会った勝手に決められた婚約者。
何か頭の中がグチャグチャで、こんなウジウジ考えてる自分も嫌になった。
「帰りたいなぁ・・・」
そう呟いてみた所で帰る家も無いのだと改めて実感してまた塞ぎ込む。
負の連鎖に迷い込みながらベッドに潜って頭から布団を被った。
そこに遠慮がちなノックが聞こえて俺は小さく返事をする。
「深月様、入っても宜しいでしょうか?」
声の主は断って、ちゃんと俺が了承するのを待ってドアを開けた。
「お腹は空いてませんか?お食事はどうしますか?」
ベッドまでゆっくり近付くと膝を着いて優しく聞かれた。
布団を被ったままだった俺は、今の態度はあまりに失礼かな?と思い身体を起こすとベッドに座って膝をたてると栗山さんを見た。
「深月様、大丈夫ですか?」
何に対して大丈夫かを答えたらいいか分からなかった俺は、質問には答えずただ俯いた。
「少しでも食べれそうなら軽食をお持ちしますよ?」
それでもめげない栗山さんは何とか俺に食事をさせようと食い下がる。
「ごめんなさい・・・本当に食べたく無いんです。」
そう答えると栗山さんが苦笑いした。
困らせてるのは分かってるけど、どうしてもあの言葉が頭から離れなくて落ち込んでしまう。
別に何か期待してた訳じゃ無いんだけど。
そうグルグル考えてた時、ふと栗山さんが口を開いた。
「正直、私も驚きました。琉聖様があんな無神経な事を口にするなんて。」
考えも付かなかった栗山さんの言葉に思わず顔を上げる。
すると栗山さんはフワッと笑って俺を見た。
「琉聖様とは子供の頃から一緒に居ますが、まさかあんな下衆なお考えをお持ちだとは思いもしませんでした。」
突然の主人への悪口にびっくりしていると、尚もその口からは琉聖への不満が溢れた。
「だいたい、琉聖様はいつも勝手なんですよ。私たち使用人に対してもそうです。人を人とも思って無いんですよ。だからあんな事を平気で・・・」
「ちょ・・・ちょっと待って!!」
ポンポン出て来る琉聖への不満に俺は焦って口を挟んだ。
「だ、大丈夫なの?仮にも栗山さんの雇い主だよ?」
一応、名ばかりの婚約者である俺に琉聖の愚痴なんて話して大丈夫なんだろうか?
もし俺が琉聖に聞いた愚痴を話してしまったら直ぐにクビになる。
頭の回転が早そうな栗山さんがそんなヘマをするか?
少ししか一緒に居なかったけど、何となく気遣いなんかでこの人は仕事が出来るんだろうなぁなんて漠然と思ってたけど、違ったのかな?
真意が読めなくて俺は黙ったまま栗山さんを見詰めた。
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