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少ししてクリスが連れて来た婚約者に俺は目を見張る。
黒く艶やかな髪は少し伸びていて、小さい顔には大き過ぎる瞳がとても印象的だった。
写真のと少しだけ違う印象は、高校生になってちょっと成長したせいなのかと思う。
近付いて顎を掬って俺を見た瞳に一瞬息を呑む。
白く透き通る肌に浮かぶ少し膨らみのある唇が柔らかそうで思わず触れそうになった。
「クリス、川崎に伝えろ。了解したと。」
これは父への伝言。
婚約者の変更が無いことを伝えた。
深月を教室に返した後も俺は生徒会室のソファーから動かなかった。
「琉聖、授業は?」
いつの間にか帰って来たクリスの声に我に返る。
肘掛に着いた腕に顎を乗せて何も答えない俺にクリスは満面の笑で話し出した。
「琉聖の婚約者ちゃん、想像以上だったね?」
「何が?」
「顔。めっちゃ美人さんじゃん。俺びっくりしたよ。」
興奮気味に話すコイツも相当整った顔してると思うんだが。
でも確かにクリスが言うように写真とはまるで違う印象だった。
大きめの二重瞼の男とは思えないあの顔は本当に綺麗で、思わず見入ってしまった。
「あんな美人な婚約者、羨ましいなぁ~」
本気で言うクリスを横目に俺は小さく息を吐く。
響かないと思ってた俺の心に小さな波を点てた婚約者に少しだけ興味が湧いていていた。
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