アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
.
-
滅多に帰らない実家に婚約者・深月と帰る。
これには結構な意味が含まれていた。
仕事が忙しくあまり構って貰った記憶の無い父親は優しく微笑んで深月と挨拶した。
小さい頃から気難しいと手を焼いていた俺が婚約者をすんなり了承した事に安心したからだろう。
基本自分にしか興味の無い母親は別段、俺にも俺の婚約者にも当たり障りなく挨拶した。
これで一通りの俺の義務は終わった。
堅苦しいく居心地の悪い実家を出て寛げる自宅に戻る。
慌ただしい1日を終えた深月は色々あり過ぎたせいか家に帰ると疑問をぶつけて来た。
それに素直に答えれば酷く傷付いた顔をして部屋に閉じ篭った。
俺は対処に困り果てていると栗山が様子を見に行った。
手持ち無沙汰な俺は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して自室に戻る。
今日1日結局授業を受けなかった俺はパソコンに向かって課題を始めた。
「失礼します。」
暫くしてノックも無しに部屋のドアが開いて栗山が入ってきた。
「深月は?」
「泣いてました。」
その一言にパソコンから顔を上げると栗山の何とも言い難い顔が俺を睨んでいた。
「もうちょっと言い方ってものがあったんじゃないのか?琉聖。」
ドアを閉めて俺に近付くとスグに出た文句。
2人の時だけに出る栗山の砕けた口調は『仕事』では無く『幼馴染み』としての栗山の素で、普段あまり出ることはない。
「俺は事実を言った迄だ。」
「それでももうちょっと気を使え。」
ネクタイを緩めながら栗山が俺のお気に入りのソファーにドサッと座る。
完全にOFFに切り替えたらしい。
「気を使う?何で?」
「お前の婚約者だろうが?泰聖様に了承したって伝えたんだろうが?だったらそれなりに扱え。じゃないと後々困るのはお前だぞ。」
この男のズバズバ正論を言ってくる所が昔から苦手だ。
俺が自分に逆らえないのを知ってるから言える言葉が憎たらしい。
デスクからソファーに移動すると栗山の向かい側に俺もドカッと腰掛けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 353