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一頻り泣いた俺はようやく落ち着きを取り戻していた。
鼻を啜る耳障りな音が辺りに響いてる中でも琉聖は根気強く待っていてくれた。
「・・・何か、ごめん。」
冷静になった頭で出た言葉は謝罪だった。
「落ちついたか?」
静かに問われて頷くと、目の前にミネラルウォーターが差し出された。
「飲め。」
泣き過ぎて喉がカラカラだった俺は素直に受け取って冷たいそれを喉に流し込む。
少しだけ気分が軽くなっていて驚いた。
「俺の話をしてもいいか?」
様子を見ながら話し出した琉聖に頷くと、深呼吸をしてゆっくり話し始めた。
「茶乃木家が異常な家だって認識はある。でも、俺はこの家に産まれて自分にはどんな役割があるかを小さい頃から教えられた。」
両膝に腕を着いて手を組んだ琉聖は俯いたまま呟いた。
「だから婚約者が男なのも納得していた。でも、お前は違うよな?いきなり男と婚約しろなんて言われて・・・そこが俺には想像出来なかった。」
「琉聖・・・」
「でも、今回の件は決定事項だ。俺達がどう足掻いたって覆らない。だから・・・諦めてくれ。」
そう言って俺を見た琉聖の瞳が揺れているのが分かる。
俺も混乱してるけど、琉聖だってこんな理不尽な事をされて混乱してるんだと初めて知った。
「深月。俺はお前に何も求めない。性欲処理だなんて思ってない。ただ、茶乃木家次男の伴侶としての役割だけ果たしてくれたらそれでいい。」
どこか諦めたような寂しい言葉に胸が締め付けられる。
どうして琉聖はこんなに苦しそうなんだろう?
何を諦めて生きているんだろう?
俺は琉聖に何て答えていいか分からないまま黙って俯いた。
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