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生徒会室を出て無駄に広い廊下を琉聖と歩く。
そう言えばこうやって2人で歩くのは、琉聖の実家に行った時以来かもしれない。
俺達は婚約してるとは言っても恋人同士ではない。
2人ので出掛ける事も、勿論デートもした事が無かった。
休みの日は俺は琉聖の実家で花嫁修業だし、それも無い時は疲れ果てて1日ベッドでゴロゴロしてる。
琉聖も普段は学生だけど、学校が無い日は仕事をしてるのか書斎に篭ってるかスーツで出掛けていた。
だからこの『2人で肩を並べて歩く』っていう行動がどこか新鮮だった。
「?どうした?」
思わず笑が溢れた俺に気付いた琉聖が足を止める。
「いや。何かこうやって2人で歩くのって良いなぁと思って。」
何気無い事でも新鮮で嬉しい。
普段、非日常が溢れ過ぎてるせいかもしれないけど今は単純にそう思えた。
「そうだな。」
呟いた俺にフッと微笑んだ琉聖が俺の手にそっと触れる。
そして暖かい温もりが俺の手を包んだ。
「行こうか。」
止まっていた俺の足が琉聖に促されて動く。
この手の温もりが今の俺の支え全てで、この温もりがあれば俺は大丈夫だと心から思える。
これが恋なのか愛なのかは分からない。
でも、琉聖の存在は俺の中で確実に大きくなっていた。
生徒会室のあった建物を出て右に伸びた渡り廊下を進むと、一般普通科の入った校舎がある。
「琉聖、ここでいいよ。」
渡り廊下の途中で足を止めた。
これ以上琉聖が教室に近付けば確実に騒ぎになる。
前に放課後、琉聖が迎えに教室に来た事があった。
その時は軽くパニックになってしまい、先生達がアタフタしながら何とか騒ぎを沈めた。
あれ以来俺の周りも騒がしくなって、好奇と嫉妬の眼差しが痛い程全身に注がれてる。
お陰で転校して1ヶ月が過ぎようとしているのに、友達の1人も俺にはいなかった。
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