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深月を教室近くまで送り届けて自分の教室に戻る。
「あれ?結構早かったね。」
座ると同時に前の席のクリスが振り返った。
「教室まで送って来たの?」
「いや。途中で追い返された。」
そう言うとクリスはフニャりと笑った。
「琉聖って結構愛されてる?」
「何をどうしたらそんな結論が出るんだ?」
時々予想を遥かに超える発想をしてくる友人に冷たい視線を送る。
「だって、それって深月の気遣いじゃない?」
「気遣い?」
クリスに依れば。
俺が深月の教室まで送って行くと、一般普通科はパニックになり俺に迷惑が掛かる。
それを気にして深月は教室まで送って貰うのを遠慮したんでは無いかと言う。
「ね?愛されてるでしょ?」
少し熱を帯びた瞳を潤ませながら断言する。
愛されてる・・・のだろうか?
でも、初めて会った時よりはお互い距離を縮めているとは思う。
まぁ最初が最悪だったんだけど。
あの頃より俺も深月に対して少しずつ気持ちは変化してるとは思う。
最初は義務感と言うか決められた事だからと何処か事務的に受け止めていたけど、深月に怒鳴られ泣かれてからは少しずつ彼に対して情のような物が湧いてきたのは事実だった。
それが愛情なのかは今は分からない。
でも、これ以上深月が傷付いたり泣いたりするのは嫌だ。
これまであまり他人に優しくして来た覚えがない俺が深月に優しく出来ているかは不確かだけど。
俺なりの優しさは示しているつもりだ。
だから深月も俺に心を許してくれてると思いたい。
深月と出会って初めて感じた感情だった。
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