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食事を終えてリビングのソファーで深月とまったり過ごしていると、リビングのドアを開けて栗山が姿を見せた。
「深月様、もう大丈夫そうですね。顔色も良い。」
「大丈夫です。心配掛けてごめんなさい。」
申し訳無さそうな、でも顔色のいい深月を見て栗山が安心したように微笑んだ。
「どうかしたのか?」
基本、帰宅後は食事の用意位しか仕事が無い栗山はこの時間はもう別階の自分の部屋に帰っている。
その栗山が顔を出した事に何か急用なのかと聞く。
「先程、泰聖様より連絡がありまして。」
珍しい人からの連絡なら仕方ない。
「で?」
「来週末に顔合わせをするとの事でした。」
「顔合わせ?」
深月に質問に栗山が頷く。
前々から言われていた所謂、深月のお披露目の事だろう。
もうそろそろ深月が俺の元へ来て1ヶ月になる。
それで家族全員で食事をと父から連絡が来ていた。
それが本決まりになったのだろう。
「分かった。週末、深月と帰ると伝えておいてくれ。」
「畏まりました。それでは失礼します。深月様、ゆっくりおやすみ下さい。」
深々と頭を下げると栗山は出て行った。
それを見送ってから隣に座る深月が身体ごと俺の方を向いた。
「顔合わせって家族全員集まるの?親戚とかも?」
少し焦ったような声がリビングに響く。
深月に伝えなくてはと思ってたのにまだ言ってなかった俺は少しだけ責められているような気分になった。
「今回は家族だけだと思う。別日に婚約披露があるから、その時は親戚や会社関係の人達が来るだろうがな。」
俺の言葉に深月の顔に不安が浮かぶ。
こんな顔させたい訳じゃ無いんだけどな・・・
自分の不甲斐なさに嫌気がする。
少しだけ空けられた2人の距離がもどかしくてそっと腰を浮かせて深月に寄り添うように距離を詰めると、細い腰を引き寄せた。
「深月、済まない。最初に話があった時に伝えておくべきだった。」
俯く深月の頭にそっと自分の頭を付ける。
自然と俺の肩に深月の頭が乗る。
「ごめん。」
「俺・・・大丈夫かな?」
小さく呟かれた疑問に俺は首を傾げる。
「茶ノ木家に・・・琉聖の家族に、受け入れて貰えるかな?」
不安気な声が震えていて俺は深月をそっと抱き締めた。
「大丈夫だ。誰が何と言おうと、深月は俺の婚約者だ。」
胸に顔を埋めたまま深月が頷く。
何が不安なのかは俺にはちゃんと理解してやれるかは分からない。
でも、深月が不安な時はこうやって抱き締めて「大丈夫だ。」と言ってあげたい。
それが『結婚する』って事だと思うから。
安心して俺の腕の中に居てくれたらそれでいい。
その想いを込めて俺は暫く深月の不安気な身体を抱き締めていた。
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