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週末。
俺達は茶ノ木家へと向かっていた。
数日前に聞かされた家族との『顔合わせ』の為だ。
「はぁ・・・」
朝から何回目かも忘れるくらい俺の口からは溜め息しか出てない気がする。
朝食もあまり喉を通らなかった。
「深月。」
そんな俺の手を琉聖が優しく掴む。
朝から何も言わずにただこうやって触れてくれるのが心地よかった。
心配掛けてるのが申し訳なくて微笑むと、琉聖は決まって困ったような顔をする。
分かってはいるけどどうも溜め息は止まってはくれなかった。
マンションから琉聖の実家まではそう遠くないせいで、心の準備が整う間もなく到着した。
無駄に大きな玄関の前に停まった車のドアは無情にも開かれて、茶ノ木家の執事に促されて車を降りる。
先に降りた琉聖は俺が車から出るのを確認してそっと左手を差し出す。
緊張のあまり状況が掴めない俺が首を傾げると琉聖がフッと笑った。
「手。」
素っ気ない一言。
でもその左手は急かす事なく俺を待っていた。
俺は躊躇いながらも右手を伸ばすと琉聖のそのしなやかな手に触れる。
優しい温もりが少しだけ緊張を解してくれた。
ちょっとだけ触れた手を琉聖は確りと握って歩き出す。
それに連られてやっと茶ノ木家に足を踏み入れられた。
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