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終始和やかなムードで食事は進んだ。
と思ってたい。
でも、何処と無く微妙な違和感を感じていた。
あまり話をしないお義父さんとお義母さん。
琉聖を温和にしたようなお兄さんは隣りに座る由都くんを時々愛しそうに眺めるが、奥さんの愛莉さんには殆ど視線も向けない。
柊聖くんは好奇心旺盛なのか俺にあれこれ質問して来て、困った俺に琉聖が助け舟を出してくれる。
そんな家族達に俺は居心地の悪さを感じていた。
豪華な食事が終わりダイニングからソファーがあるリビングらしき部屋に移動した俺達は、それぞれソファーに腰掛けてコーヒーを飲んでいた。
いつの間にかお義母さんは姿を消し、愛莉さんは窓辺に近い1人掛のソファーで満月に近い月を眺めていた。
「琉聖、学校の方はどうだ。」
「普通ですよ。特に変わりない。」
お義父さんの問い掛けに短く答える。
高校生の親子の会話なんてこんなもんだろう。
俺も実家にいる時にはあまり父さんと話さなかったし。
「深月くんは?新しい学校には慣れたかい?」
優しく問い掛けてくれるお義父さんに俺は頷く。
「そう言えば先日、由都とぶつかって頭を打ったって?大丈夫だったかい?」
思い出した様に聞いてきたお兄さんに視線を送ると、隣に座る由都が申し訳無さそうな顔をしていた。
「全然大丈夫です。ご心配をお掛けしました。」
俺が微笑みながら言うと少しだけ由都くんの顔が穏やかになった。
「由都と深月くんは同じ学校だから仲良くしてやってくれ。」
色々と含まれたお兄さんの言葉に俺は頷いた。
「改めましてよろしくね。」
綺麗な顔で由都くんが微笑んだ。
その横顔を愛しそうに見詰めるお兄さんに本当に由都くんが大事なんだと実感する。
でも・・・
俺は少し離れた場所に居る愛莉さんが気になって仕方なかった。
茶ノ木家のルールは嫌って程理解している。
でもこの状況は一般家庭で育った俺にはかなりの違和感だった。
綺麗な奥さんより愛人を大切に扱うお兄さん。
その状況に愛莉さんもお義父さんも琉聖も柊聖くんも何も言わず当たり前に受け入れてる。
俺が愛莉さんの立場なら絶対にこの空間に居たくないと思う。
だからこの状況で唯一姿が無いお義母さんが正常な思考をしてるんではないかと勘違いしてしまいそうだ。
「今日は泊まって行くだろう?琉聖。」
時計を見るとだいぶん遅い時間になっていてお義父さんの言葉に琉聖は素直に頷いた。
俺はその判断に素直に従う。
「部屋は整えてある。深月くんも疲れただろう。ゆっくり休みなさい。また朝食の時に。」
お義父さんの一言で顔合わせはお開きになった。
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