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ランチに満足しながらカフェを出て2人並んでゆっくり歩く。
車は公園の入り口に来るように伝えてある。
その短い距離を幸せを噛み締めながら歩いた。
「本当にどこも行かなくて良いのか?」
黒塗りの車が見えてもう一度確認する。
俺を見て頷く深月にもう答えは決まってたみたいで、それ以上聞くのは辞めた。
俺達の姿を確認した運転手がそっと後部座席のドアを開ける。
隣を歩く深月の腰に手を当てて軽く押すと、微笑んで深月が車に乗り込んだ。
それに続いて車に乗り込むとドアがしまった。
「マンションに。」
「畏まりました。」
運転席に乗り込んだ運転手に告げると車は静かに走り出した。
流れる街並みを何気なく見ていると、少しだけ暖かい物が俺の手に触れる。
その温もりを手繰り寄せてキュッと握る。
お互い目線は外を向いたまま絡める指先に熱が籠っていく。
黙ったままのこの空間が心地いい。
暫く走った車が見慣れたマンションの前に停まった。
開けて貰ったドアから車を降りる。
手を握ったまま深月が降りるのを待ってそのまま歩き出す。
小さい箱に乗り込んで直ぐに深月の細い腰を引き寄せた。
「どうしたの?琉聖。」
「深月が可愛いから。」
「俺が可愛い?」
少し低い位置にある深月の黒髪がクスクス笑うのに連動したサラサラ揺れる。
首筋に時々触れるそれが擽ったくて深月の髪に唇を寄せた。
こんなに人を愛おしく思える自分が意外にも嫌いじゃない。
開いた扉を2人で通り過ぎて、住み慣れた家へと辿り着いた。
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