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琉聖と2人きりのデートをしてからまた忙しくも穏やかな時間を過ごしていた。
相変わらず『教育』は俺の脳内を軽く掻き回していたけど、だいぶん身体には身に付いていると思う。
神経質なマナーの先生にあまり小言を言われなくなったのが証拠だ。
学校も普通に馴染んではきたけどまだ友達と呼べる友人は居なくて、でも変わった事が一つだけあった。
「深月くん、英語の教科書貸してくれない?」
顔合わせ以降、何かと用事を見つけては由都くんが俺の元にやって来るようになった。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。英語はいつ?」
「今日は1時間目だからもう終わった。」
「そう。じゃあお昼休みに持って来るね。それからお昼一緒にどう?」
満面の笑顔が眩しいくらい綺麗で少しだけ視線を逸らしてしまう。
「お昼は、琉聖と約束してるんだ。」
「そっか。じゃあ今度は僕ともお昼一緒にしてね。」
手をヒラヒラ振って由都くんは教室を後にした。
のは良いんだけど・・・
彼が去った後の教室は以前にも増して居心地が悪い気がする。
琉聖の婚約者ってだけでも浮いている俺に、今度は琉聖兄の大切な人をも俺を構うもんだからより一層羨望と嫉妬の眼差しが痛い。
だから学校ではなるべく目立たないように大人しくしてた。
無事1日の学校生活を終えて教室を出れば、いつも同じ場所で琉聖が待っていてくれる。
経営学科と一般普通科の間にある管理棟。
その渡り廊下で琉聖の姿を見付けると俺の足は自然と早くなった。
「お待たせ。」
「行こうか。」
そっと出された手を握り締める。
前は恥ずかしくて繋げなかった手も、今では普通に細くて華奢な手を握る事が出来るようになっていた。
季節はもう冬が近付いて来ていた。
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