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知らされた事実に動揺してしまう。
なぜ栗山さんの言葉に頷いてしまったのか、頷いた自分を恨んだ。
栗山さんが琉聖の・・・
そう思うだけで身体が震えだした。
「深月様、大丈夫ですか?」
俺の様子に栗山さんは心配になったのか立ち上がると俺の側に膝を着いて目線を合わせる。
そしてそっと肩に手を当てようとした。
瞬間、自分でも無意識にその優しい手を払い除けていた。
「!?深月様?」
「あっ・・・ごめんなさい。」
栗山さんの手を払った自分の手を思わず胸の前で抱き締める。
そのまま視線を落として謝った。
初めて会った時からいつも優しく接してくれた栗山さん。
琉聖に酷い事を言われた時も俺の味方だと言ってくれた。
いつも側に居てくれて1人知らない世界に飛び込んだ俺の事をいつも支えてくれてた、のに。
こんな態度を取ってしまう自分が情けなくなる。
「深月様。今日は帰りましょうか?」
俯いたままの俺に近い場所でそう優しく囁いて栗山さんが立ち上がった。
帰る?何処に?
「琉聖の・・・所に・・・?」
俺には他に帰る場所は無い事くらい分かっている。
でも正直、今どんな顔をして琉聖に会えばいいか分からなかった。
「琉聖様がお待ちですよ。」
優しく微笑んでるであろう栗山さんの顔さえちゃんと見れない。
本当に情けないな、俺。
「今日は・・・会いたくない。」
それしか言えなかった。
今は1人になって落ち着きたい。
琉聖の過去もこれからの俺の状況も変えられないのなら、せめて時間が欲しかった。
冷静になってちゃんと受け入れる時間が・・・
「畏まりました。今日はこちらのお屋敷にお泊まり下さい。明日の朝お迎えに参ります。後程、誰か別の者を越させますので何かありましたらその者に仰って下さいね。」
有能な執事は俺の一言で全て悟ってくれたらしく欲しい答えを全てくれて部屋を出ていった。
「・・・ごめんなさい。」
俺はそんな背中に小さな謝罪を呟いた。
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