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玄関が閉まる音が小さく響いて、俺はこの広い空間に1人になった。
1人になって考えたいと望んでた筈なのに、上手く考える事が出来なかった。
頭を駆け巡るのは考えたくない琉聖と栗山さんの霰もない姿。
俺の想像なんてお子ちゃまレベルなのは分かるけど、それでも2人が抱き合ってる映像が何回も浮かんで気分が落ちる。
泣きたくなる気持ちを抑えてソファーから立ち上がると、沈み始めた夕日を大きな窓から眺めた。
きっと琉聖の相手は栗山さんだけじゃない。
顔も知らない人達が何人琉聖に抱かれたのか想像するだけで胸が痛かった。
でも・・・やっぱり顔を知っている栗山さんが、しかも初めての相手って思うと苦しさは倍増してしまう。
栗山さんが酷い人なら冷たい態度を取れるのだけど、彼の優しさを知っているからそれも出来ない。
俺は落ち着く為に1人になったのに、その思考はドンドン自分を追い詰めて落ち込むだけだった。
暫く窓の外を眺めてたけど夕日はもうその姿を隠していて、目の前に広がるのは紫色に染まった空だった。
少し寒さを感じて窓辺を離れると、さっきまで座っていたソファーに腰を下ろす。
別宅なだけあって普段は使ってないとは言っても生活用品は全て揃っていた。
ここにはテレビも冷蔵庫もあるのに俺は何もする気にはならなくて、そのまま大きなソファーにゴロンと横になる。
とても静かな空間に小さく響くのは自分の呼吸音だけで、俺はこれ以上落ちたくないと思ってそっと瞼を閉じる。
そのまま考える事も諦めた俺はいつの間にか意識すらも手放して現実から逃げ出していた。
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