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少しざわめきのあった教室が担任の登場に静まる。
先に入った担任に促されて教室に入ると、全生徒の視線が俺に注がれた。
友達に転校が多い奴がいた。
親の仕事の都合でしょっちゅう引越ししてたソイツを今は尊敬出来る。
毎回こんな緊張感と好奇の眼差しに耐えて笑顔を振り撒いてた友人の顔が浮かぶ。
いつか会える機会があったらそれを伝えてあげよう。
「え~今日からこのクラスの一員になる、橘 深月(たちばな みつき)くんだ。仲良くするように。」
担任の小学生への紹介みたいな言葉に思わず苦笑いする。
視線で促されて挨拶しなければと思い顔を上げると、同級生達の視線にぶつかった。
ヤバイ・・・産まれてこんなに緊張したのは初めてだ。
突然の転校に何も準備して無かった俺は何を言ったらいいか分からず息を呑む。
今口を開いたら心臓飛び出しそう。
期待と好奇の混ざった視線に耐えられなくて重い口を開く。
「橘 深月です。よろしくお願いします。」
精一杯言葉を発して頭を下げると、疎らな歓迎の拍手が聞こえた。
何だろう?この微妙な空気感は。
言いようのない圧迫感に息が詰まりそうだ。
担任に1番後ろの席に座るよう促されて歩き出す。
相変わらずの視線に俺があまり歓迎されてないんだと実感した。
席に着くとHRが始まり俺に向けられた視線から解放される。
少しだけ緊張が解れて俺は小さく溜め息を吐いた。
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