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ズキズキする頭の痛さに目を覚ます。
ゆっくりと開いた瞳が捉えた視界は霞んでいて、自分が何処に居るのか把握するのに時間が掛かった。
少しずつクリアになる世界をゆっくり見渡すと、そこは保健室のようだった。
俺、確かトイレに・・・
痛む頭で考えていると、少し離れた所で小さな物音がした。
「あ、目が覚めた?」
カーテンに囲まれてたのか視界の先の白い布が静かに靡いて、そこに心配そうな顔をした人物が現れた。
「あの・・・俺・・・」
「トイレでぶつかっちゃって。頭を打ったみたいで気絶してたんだ。」
少し長めのストレートの黒髪を揺らして近付いてくる男性は、儚いイメージのとても綺麗な顔立ちで心配気に話してくれた。
そっか。
「大丈夫?痛い所は?」
「ちょっと頭が痛いですが大丈夫です。」
後頭部を擦りながら微笑むと、少しだけ安心したように彼も笑った。
「本当にごめんね。僕の不注意だ。」
今度は酷く後悔してるような悔しそうな顔をする彼を見ていて、クルクル表情が変わるなぁなんて考えていた。
その時、大きな音を点てて保健室のドアが開かれた。
カーテンがある為、音を点てた人物は分からなかったが直ぐにその正体は明らかになる。
「深月、大丈夫か!?」
俺を呼ぶ声と共に身体が優しい温もりに包まれる。
ちょっとだけびっくりした俺は状況を把握するのに少し時間が掛かったけど、息を切らして来てくれたのが嬉しくてその少し汗ばんだ背中に腕を回した。
「大丈夫だよ、琉聖。」
心配してくれてるのが抱き締めた体温の高さで分かる。
だから安心して貰えるようにそっと呟いた。
「痛い所は?」
少しだけ身体を離した琉聖が俺の顔を覗き込む。
「頭がちょっ・・・」
言い終わらない内に後頭部に手を添えられる。
「ここか?」
「・・・うん。」
「少し腫れてるな。病院に行こう。」
「大丈夫だよ。それに今日も勉強に・・・」
「駄目だ。今日の教育は休ませる。頭を打ったのなら病院も絶対連れて行く。」
少し余裕の無い琉聖が珍しくて、悪いとは思いながらも思わず笑ってしまった。
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