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テーブルにはクリスが淹れてくれたホットミルクが優しい湯気を立ち上らせていた。
少し寝たお陰で幾分か落ち着いた俺はクリスと並んでソファーに座っていた。
「話は少しだけ聞いたよ。今日から始まったんだって?『教育』が。」
クリスは自分用のコーヒーを口に含んだ。
足を組んで優雅にコーヒーを呑む姿にちょっとだけ見惚れる。
この落ち着いた空間にとても似合っていた。
俺は何を話したらいいのか分からなくてホットミルクの入ったカップを両手で持って、その温もりを感じていた。
「栗山の話も聞いたんだろ?深月はどう思った?」
柔らかいクリスの声が耳に心地いい筈なのに、言葉が上手く出てこない。
それでもクリスは急かさず俺が話し出すのをゆっくりと待っているようだった。
「なんだろう・・・頭がぐちゃぐちゃ、だった。」
語学力が無い俺は適切な言葉が見付けられなくて、とりあえず頭に浮かんだ言葉を素直に口にした。
本当にそれが素直な気持ちだった。
「だよね。いきなりそんな話されたら頭ぐちゃぐちゃになるよね。」
否定をしないその言葉に凄く救われたような気がした。
過去だろうとなんだろうと素直に受け止められない。
それは・・・
そこで俺の思考はある答えに辿り着いた。
この状況でそれに気付いてしまうなんてとても皮肉な事だと思う。
でも、頭に浮かんだそれはもうどこかへ隠す事も逃げ出す事もできなかった。
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