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声がした方に振り向くとそこには恰幅のいい年配の男性と、少しだけ若い眼鏡を掛けた男性が立っていた。
その姿を確認した瞬間、琉聖が身体ごと振り返って頭を下げる。
俺も釣られて頭を下げた。
「お久し振りです、琉聖様。お元気そうで。」
少し若い男性が無表情で声を掛けてきた。
頭を上げると眼鏡の奥の切れ長の瞳と視線がぶつかる。
敵意では無いけど、何だか好意的では無い視線に居た堪れなくなって思わず俯いた。
「お久し振りです、江原先生。ご無沙汰してます。」
琉聖が自然と俺の前に立って先生と呼んだ人物から俺の姿を隠してくれた。
「元気そうだな。」
社交辞令的な遣り取りをしていた2人の会話に年配の男性が入ってきた。
「はい。ご無沙汰してます、お祖父様。」
琉聖のその言葉に俺は思わず反応した。
お祖父様って・・・琉聖のお祖父さん?
前に立つ琉聖の背中から少しだけ顔を出すと、お祖父様と呼ばれた年配の男性と目が合った。
「橘家の息子か?」
そう聞かれて頷くと琉聖の隣に移動して頭を下げた。
「はじめまして、橘 深月です。」
「そうか。」
お祖父様はそれ以上何も言わずに歩き出して、お墓の前に立つ。
そして深く深呼吸をしてから手を合わせると静かに目を閉じた。
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