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日常を為すべきだと、刹那
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あれから一週間ほどが経った日のこと。
一縷は俺と体育祭で騎馬戦のグループになることを承認してくれたとはいえ、あの後に彼からのアクションは何もなかった。
体育祭まで一か月ほどしかないし、本当は少しでも集まった方がいいんだろうけど…。
彼には毎日生徒会室でも、教室でも会っているというのに。
第一、一縷はどうして「いいですよ」なんて言ったんだろう。
嫌なら嫌と断ればよかったのに。
これ以上俺と仲が悪いという噂が流れるのが嫌だったのか?
いいや、一縷は人の噂を気にするような奴じゃない。自分の決めた道をまっすぐにひた走る性格だ。
他人がとやかく囃したてることに興味などないだろう。
じゃあ、何故?
実は俺のこと嫌いじゃないのかな…。
だとすれば、とても嬉しいんだけど。
「春乃様…、紅茶でいいですか?」
優李が話しかけてくるまでずっと、俺は一縷のことを考えていたみたいだ。
せっかく親衛隊の子達と話せる機会なのに、心ここにあらずな態度を取ってしまったかな。
「うんいいよお~ゆうゆうありがとうねぇ」
ニコッと笑って感謝の言葉を述べただけなのに、優李も他の子達も恥ずかしそうに顔を赤くした。この過剰な反応は何回されても慣れないな…。
俺はたまにこうやって親衛隊の子達と話をする時間を取ることにしている。
とは言っても空き教室にお菓子と飲み物を持ち込んで、10人ほどと軽く喋ったりするだけだけど。
「あ、あの!春乃様が体育祭で一縷様とご一緒に競技をなさると伺ったのですが、本当ですか?」
「うん、ほんとうだよぉ、よく知ってるねえ」
「あの一縷様と春乃様が一緒に競技をなさると皆の間で話題になっているんですよ!
お、お二人はその…少し気まずいところがあると思っていたので、そうじゃないんだと知れて安心したんです」
「残念ながらそうなんだけどね」と心の中で言葉を呟きながら、俺はまたも嘘の言葉を続けようとする。
もう嘘をつくことに慣れすぎて、本当のことを伝えようとさえ思わなくなっていた。
本当のことを伝えて心配させるより、嘘を伝えて安心させた方がいいんだ。
…俺にとっては。
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