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日常を為すべきだと、刹那
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「失礼します」
「春乃君か、入りなさい」
厳重な扉を潜り抜けると、異世界に足を踏み入れたかのような気持ちに陥る。
同じ学園内のはずなのに、まるで違う場所に来てしまったみたいだ。
「理事長…、お久しぶりです」
重い扉を閉め終わると、部屋の奥に置かれたデスクの脇に立っていた理事長が「君が二年に進級してからは初めて会うね。元気だった?今日は忙しいのに時間を取ってもらってありがとう」といつもと変わらぬ落ち着いた声で言った。
実年齢より十歳は若く見えるその姿は、見るからに紳士的で、それでいて皆を惹き付けてまとめるリーダ的な風格を感じさせる。
「元気ですよ、毎日楽しいです」
俺は机に置かれていた鮮やかな青い薔薇に目をやりながら答える。
できるだけ、この人と目を合わせることはしたくなかった。
「うん、ならいいんだ…君が楽しくやっているなら、いいんだよ。
ただね、君と初めて会った時とあまりにもイメージが違うものだから、無理をしているんじゃないかと心配しているんだ」
「…それに、首席で特待生だということはまだ隠し通すつもりなのかな」と彼は続けた。
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