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一縷視点。
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「そのピアス、すごい綺麗だな」
ベッドと勉強机しか置いていない殺風景な部屋で、目の前に座る桜川にそう声をかけた。
蛍光灯に反射して青みがかって見える髪がサラサラと揺れる。
夜空のように美しい瞳もまた光を取り込んで、まるで星空のように見えた。
少しだけ髪から覗いている桜の花びらのような淡いピンク色のピアスが、とてもよく似合っている。
こいつを取り巻く空気全体が、不思議と幻想的に見える。
「…ありがとう」
小さく返された言葉は、少し震えていた。
泣き腫らした目は赤く腫れていて、見る者の心を抉る。
白い肌に残る赤く擦った跡が痛々しい。
そういえば、いつもより肌が白い気がする。
そのことについて尋ねようかと思ったが、「やめておこう」と思った。偽っていたものを更に知るだけだ。
今日の一件で、桜川が自分の姿をこれでもかという程偽っているということがよく分かった。容姿も、性格も、全てに至るまで作られたものだった。
そこまでして偽って、「本当のこいつは何なんだ?」と思う程に、何もかもが嘘で塗り固められていた。
こいつは多分、変化が訪れることを恐れている。
強く、激しく。
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