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一縷視点。
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俺、住之江一縷はチャラチャラしたやつが嫌いだ。
昔から、そうだった。
着崩した制服に、耳にはピアス。染められた髪の毛に、間延びした喋り方。
そのどれも、俺をイライラさせる。
友人にするなら、間違いなく真面目な奴がいいに決まっている。
それなのに、俺が通っているこの学園は風紀に関する校則がやけに緩かった。
進学校なので、勉強ができればいいということなのだろう。
チャラチャラした奴を見る度に、吐き気がした。
エスカレーター式のこの学園は閉鎖的で、俺は昔からこの独特の雰囲気が大嫌いだった。
一刻もはやくこの箱庭から抜けだして、早く自由な世界へ行きたい、と願っていた。
けれど中学二年のある日、俺の運命は変わる。
教室の前を歩くあの人を見た時、なんて美しい人なんだろうと思った。
綺麗な世界に生きている、潔白で無垢な百合の花がよく似合う、そんな美しさだった。
きっちりと閉められた制服のボタンに伸ばされた背筋。優しげな目元には知性が宿っている。
俺の理想がそこにあった。
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