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一縷視点。
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それから俺は、落ち着かない心を少し整理しようと、カフェへ向かうことにした。
高校に進学してからずっと通っている思い入れのある場所。
マスターがとても親切で、俺のことをもうすっかり覚えてくれている。
木材に包まれた落ち着きのある空間が、煩い外の世界との隔たりを意識させる。
それが妙に安心感に包まれていた。
そういえば、この時間に行くのは始めてだな。
いつも、土日の昼間に行ってばかりだったから、平日のこの時間に行くのは始めてだ。
実のところ平日の外出は禁止されているのだが、抜け出したところで問題はないだろう、と思う。
消灯時間も決められていないし、大体いるかどうかの確認もないし。
というか抜け道、知ってるし。
寮の裏に小さな倉庫…?があって、そこの真後ろに人一人がやっと抜けられるくらいの小道がある。
多分誰も知らないと思うし、教える気もなかった。
その小道をひたすら真っ直ぐ抜けると、学園の裏門に出ることが出来る。
「この学校、警備大丈夫かな」と思う程に閑散とした小さな小さな扉があるだけなのだが。
「…あれ?」
ギシギシと錆びた音のする扉を開けようとした時、あることに気がついた。
扉がほんの数センチ、開いたままになっていたのだ。
たった今、誰かがここを通ったと言わんばかりに。
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