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夏の花火と泡沫の心
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「会長が射的してる姿とか、衝撃的にレアですね」
あまりにも人手が凄すぎて、前に進むことすら困難な小道を何とか潜り抜けて、俺達は比較的空いている射的の出店へとやって来ていた。
一縷はどうしてもあんず飴が食べてみたいらしく(会長と同様、お祭りには初めて来たらしい)俺と会長とは分かれてそれを買いに行っている。
二人とも、案外子供っぽい…
学園にいる時から想像すると、到底考えられない。まるで立場が逆転したような感じ。
多分この状況を写真に撮って親衛隊に見せたら、大変なことになるんだろうなあ、なんてことをぼんやりと考えていると「春乃はどれが欲しいですか?」と会長から声をかけられた。
「会長がいいと思うものを狙えばいいんじゃないですか…?」
「春乃が好きなものを取りたいんです」
やっぱり今日の会長は様子が変だ。
いつもより年相応というか、いつもは見守っていることに自分が入ろうとしているというか。
心なしか表情もいつもと違うような…?
「じゃあ、あの星の置物?がいいです」
俺は一番端に置いてあったブルーの星の置物(?)を指差した。
会長は俺の言葉には答えずにピストルを手に取ると、その美しい横顔に真剣さを宿して引き金を引いた―。
会長の茶色の瞳は、小さく揺れていた。
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