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眠り姫(湊)
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「ああ、どうも。
お母さん、と…ご兄弟の方ですか??」
「いいえ。恋人です。」
「ああ、そうでしたか」と微笑んだ医者から
出血は多かったが、命は助かったこと
傷は深いが、そう目立たないように務めたこと
そして、その他諸々を優しい笑顔で伝えられた
なのに…
「ただ。」
さっきまで優しい顔をしていた医者は
急に険しい顔に変わって
「ただ、精神的な傷を考えると
目を覚ますのに多少時間がかかるかと…」
その言葉で、俺は凍りついた。
「…それは、どのくらいでしょうか??」
お母さんも目に涙を浮かべている。
「明日、明後日は無理だと思います。
最悪 何十年と目覚めないかもしれないと
覚悟しておいてください。」
「なん、じゅう、ねん…」
それは、あまりにもショックで。
警察を呼ぶためとは言え
あの時の俺の言葉が悪かったんだろう。
俺のせいで、夏希は自分で自分を傷つけて
今度は、眠りに落ちてしまった。
ぼーっとしていたら、
『日和夏希様』とプレートの出た
病室の前にやって来ていた。
医者からは、
ここ一週間は立入禁止と言われていた。
それでも、出来るだけ側にいてやりたくて。
…側に居たくて
扉の前にしゃがみこんで
眠ってしまっていた。
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