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古傷になるまで(渚)
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帰り道。ふとした瞬間に触れると智紀はびくっと体を強張らせて
一瞬だけ怯えた顔をしていた。
やっぱり、俺が怖いんだろうな。
それでも 俺を大切に思って会いに来てくれてるんだよな。
智紀センパイのおかげで、少し気分が晴れた。
だから、話そうと思った。
俺の中にいる、人を傷つけることでしか愛情を表せない
とっても不器用な悪魔の話を。
公園のベンチに座って、さて何から話そうか。
「あのね」「センパイ」
同時に喋り出す。なんだか嬉しかった。
「先に言わせて?」
「もちろん。どうぞ。」
「あのね、僕ね、怖かったよ。」
心臓が大きく波打った気がした。
――そうだよね。怖いよね...
「でもね、嬉しかった。」
「え?」
「僕に、こんなにぶつかってくれた恋人は
渚くんだけだったから。」
こんなこと言われたら、また泣いてしまいそうだ…
けど、この言葉のおかげで覚悟ができた。
「智紀センパイ、あの時俺がどうなっていたのか。
俺が今、どういう事になっているのか。
聞いてください。全部。」
智紀センパイは、俺の縋り付くような想いも
優しく受け入れてくれた。
そして、俺は大きく息を吐いてから、軽く吸って
話し始めた。
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