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古傷になるまで(渚)
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「――って、ことなんです。」
夏希のこと。裕翔のこと。遥紀のこと。
遥紀の記憶が思い出される反動である頭痛で正気を保てないこと
いっきに話した。智紀センパイの顔も見ずに。
「はぁ………」
大きなため息で、俺はセンパイの顔を見る。
寂しそうなような、呆れたような、悲しそうな
複雑な表情で俺を見つめる、その顔があった。
「渚くんさぁーーー、」
「は、い」
「僕が幾ら根っからのゲイだからって
僕の覚悟を見誤ってない?」
…はい?
いや、あの。智紀さん?
根っからなんて、俺知りませんでしたが?
「待って、貴方 彼氏いたことあるのは聞いたけど
まさか…何人も...?」
「まぁ。それなりには?」
わぁ、なんかショック…
そんな気持ちが顔に出ていたのか、頭を撫でられる。
心地いい。本当に。
「そこじゃなくてさ。」
余裕のある笑顔を見せる。
さすが、今までずっと上張ってただけあるよね。
「僕、それだけで渚くんのこと嫌いになったりしないよ。
バカじゃないの。考えすーぎ!」
―パシッ
「いてっ」
デコピン…?!
――ちゅ
その次はキス?!
「渚くん、大好きだよ。
僕をもっと頼って。僕も頼るから、ね?」
「俺、貴方を好きになってよかった。」
「まだまだ、思わせてあげるから!」
今日この時、久しぶりに心から笑えた。
精神的にはもう夏希に会えそうだ。
止めてくれる智紀センパイがいれば、尚更。
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