アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
嵐の前の静けさ(湊)
-
「いってきまぁーす」
――カチャン
扉の音がやけに響いて聞こえた。
昨日、あれだけ騒いだからなのか今日の朝はなんとなく寂しい。
「はぁ………。」
「湊?どうしたの?」
隣で歩く夏希が眉をひそめてこっちを見てくる。
朝日が眩しいんだろう。
「また来たいなぁって思って。」
「おいでよ!!一緒には寝ないけどねっ」
と、俺の腕を掴む。
それからはずっとそのまま、昨日のテレビやら、担任の癖やら
どうでもいい話をしていた。
バス停に着くと、バスが来るちょうど2分前。
ギリギリじゃないかって?
バスは電車みたいに時間通り来ないのが取り柄。
しかも、この路線は乗り降りが激しいから
5分遅れなんてザラだ。
でもそういう時に限って…
「大変おまたせしました。
このバスは―――」
ほとんど時間通りに来るのもバスの長所だ。(嫌味)
夏希の状態からして、誰かをどかしてでも座らせたい
と思っていたが、思いの外空いていた。
一番後ろの窓際に夏希を座らせる。
バスにゆらゆら揺れていると、振動が心地よかったのか
夏希はすぐにウトウトしてしまっていた。
寝かすつもりで、頭を俺の肩に乗せるように傾けると
「んー」と眉間にシワを寄せる。
………もう寝てたみたいだ。
学校までは20分。
駅までは迂回するから半時間。
しかもそこから遅れるから、
駅についたのは約束の時間の5分前。
そして、5分後には嵐がやって来る。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
157 / 193